八束水臣津野命(読み)やつかみずおみつののみこと

精選版 日本国語大辞典 「八束水臣津野命」の意味・読み・例文・類語

やつかみずおみつの‐の‐みことやつかみづおみつの‥【八束水臣津野命】

  1. 出雲地方の祖神的性格の神。「古事記」では、「おみずぬの神」の名で須佐之男命の子孫大国主命祖父とする。「出雲風土記」での国引きの話で著名

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改訂新版 世界大百科事典 「八束水臣津野命」の意味・わかりやすい解説

八束水臣津野命 (やつかみずおみつののみこと)

出雲国風土記》に語られた〈国引き〉の巨人神。同風土記の意宇(おう)郡の条に,この神が新羅(しらぎ)をはじめとする諸方から国をみずからの力で引き寄せて出雲の国を作りなしたと伝えている。また〈出雲〉〈島根〉の地名もこの神の命名によるという。出雲において天下を平定した神に〈大穴持(おおなもち)命〉がいるが,この神はそれに先立つ原初的国作り神として伝承されたらしい。上記の〈国引き〉の詞章は壮大な構成をもつ動的な律文で,日本古代文学の一傑作とされる。
国引き神話
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「八束水臣津野命」の解説

八束水臣津野命 やつかみずおみつののみこと

「出雲国風土記(いずものくにふどき)」の国引き神話に登場する神。
出雲(島根県)の国がせまいので,新羅(しらぎ)(朝鮮)や高志(こし)(北陸)などの国のあまった土地に綱をかけてひきよせ,領土を拡大したという。出雲の国名の命名者とされる。「古事記」では淤美豆奴神(おみずぬのかみ)。

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世界大百科事典(旧版)内の八束水臣津野命の言及

【国引き神話】より

…巨人の神が他の国土を引き寄せて国作りしたとの内容からこの名がある。八束水臣津野(やつかみずおみつの)命なる神が〈八雲立つ出雲の国〉はまだ狭く稚い国だ,この小さな最初の国土を作り縫おうといって,新羅の三埼(みさき),北門(きたど)の佐伎(さき)の国,北門の農波(ぬなみ)の国,越(こし)の都々(つつ)の三埼の諸方より,それぞれの土地に綱をかけて引き寄せ出雲の国に結びつけたと語られている。国引きの有様は〈童女(おとめ)の胸鉏(むなすき)取らして 大魚(おうお)のきだ(えら)衝(つ)き別けて はたすすき穂振り別けて 三身(みつみ)の(3本よりの)綱うち挂(か)けて 霜黒葛(しもつづら)くるやくるやに 河船のもそろもそろに 国来(くにこ)国来と引き来縫へる国は……〉との律文でのべられ,かくして出雲の国に縫い合わされたのが杵築(きづき)の御埼,美保の御埼などであるという。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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