公家悪(読み)クゲアク

デジタル大辞泉 「公家悪」の意味・読み・例文・類語

くげ‐あく【公家悪】

歌舞伎役柄の一。公家悪役。多く顔を藍色隈取くまど、陰険な無気味さをもつ。「車引」の時平しへいなど。

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精選版 日本国語大辞典 「公家悪」の意味・読み・例文・類語

くげ‐あく【公家悪】

  1. 〘 名詞 〙 歌舞伎で、公家の悪人として登場する役。「菅原伝授手習鑑」の時平(しへい)や、「妹背山婦女庭訓」の入鹿(いるか)の類。
    1. [初出の実例]「土民とは公家悪のいふ言葉也」(出典:雑俳・柳多留‐二(1767))
    2. 「享保の初に山中平九郎といへる戯場役者有りしが、公家悪(クゲアク)の上手にて」(出典随筆耳嚢(1784‐1814)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「公家悪」の意味・わかりやすい解説

公家悪 (くげあく)

歌舞伎の役柄の一つ。敵役の中で,皇位奪(さんだつ)しようとする高位の公家の悪人の役。《菅原伝授手習鑑》の藤原時平(しへい),《妹背山婦女庭訓》の蘇我入鹿(そがのいるか),《暫(しばらく)》の平将門(まさかど)など。いずれも青黛せいたい)をつかって〈公家荒(くげあれ)〉という隈を取る。金冠白衣を着し,長髪の鬘〈王子〉をつける。超人的な異様な力を持つ役であることが,この扮装にはっきりと表れている。皇位をねらう悪事が人間わざではなかったのである。
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世界大百科事典(旧版)内の公家悪の言及

【敵役】より

…代表的な役は《伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)》の仁木弾正,《仮名手本忠臣蔵》の師直,《時桔梗出世請状》の光秀など。〈公家悪(くげあく)〉は公家の悪人で,多く藍隈などで顔をいろどり,陰険な無気味さをもつ。《菅原伝授手習鑑》の〈車引〉の時平や《妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)》の蘇我入鹿,《暫(しばらく)》のウケなど。…

※「公家悪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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