公設民営大学(読み)こうせつみんえいだいがく(英語表記)publicly established and funded, but privately owned and run university

大学事典 「公設民営大学」の解説

公設民営大学
こうせつみんえいだいがく
publicly established and funded, but privately owned and run university

1980年代に入り,地域活性化等のため,地方公共団体用地建物資金等を提供して私立大学を誘致する公私協力方式(日本)による大学設置が盛んになった。1984年(昭和59)に旧文部省の大学設置審議会大学設置計画分科会(日本)がまとめた新高等教育計画(日本)では,大学の地方分散のため,公私協力方式により大学,短期大学を整備する構想が示されていた。当時は,第3次全国総合開発計画を受けて旧国土庁が大学誘致による地域振興を進めており,旧通産省もいわゆるテクノポリス構想に基づき大学の地方立地を掲げていた。

 1990年代になると,地方公共団体が学校法人の設立自体に関与する公設民営大学(法令上は私立大学)の設立が続き,東北芸術工科大学(山形県山形市:1992年)皮切りに,長岡造形大学(新潟県長岡市:1994年),名桜大学(沖縄県名護市:1994年)高知工科大学(高知県香美市:1997年),千歳科学技術大学(北海道千歳市:1998年),九州看護福祉大学(熊本県玉名市:1998年),静岡文化芸術大学(静岡県浜松市:2000年)東北公益文科大学(山形県酒田市:2001年),鳥取環境大学(鳥取県鳥取市:2001年)が相次いで開学した。なお,1966年の本州大学(現,長野大学)の設置も公設民営方式によるとされる。近年は18歳人口の減少等による定員割れも目立ち,経営の安定化等を目指して,高知工科大学,静岡文化芸術大学,名桜大学,鳥取環境大学,長岡造形大学,長野大学のように公立大学法人の設置する公立大学に移行する例がみられる。
著者: 寺倉憲一

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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