城米(読み)ジョウマイ

デジタル大辞泉 「城米」の意味・読み・例文・類語

じょう‐まい〔ジヤウ‐〕【城米】

城中に貯蔵した米。特に、江戸幕府が、直轄地譜代諸藩に命じて、凶作飢饉ききん軍事に備えるため、蓄えさせた米穀

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精選版 日本国語大辞典 「城米」の意味・読み・例文・類語

じょう‐まいジャウ‥【城米】

  1. 〘 名詞 〙 戦国時代江戸時代幕府や諸藩が軍事・凶荒に備えて城中にたくわえておく蔵米。幕府ではのちに御用米といった。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「御城米(ジャウマイ)を出され、御商売のよしに候」(出典信長記(1622)六)

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改訂新版 世界大百科事典 「城米」の意味・わかりやすい解説

城米 (じょうまい)

広義には江戸幕府直轄領の年貢米をさすが,狭義には幕府直轄城地,東海道宿駅,および譜代大名城地に詰められた兵粮米をさす。譜代大名領城米は,例外もあるが1633年(寛永10)ほぼ一斉に設定され,幕府が幕領年貢米または代金を供与し詰米させることにより成立した。城米は城付武具と同性格で,城主の交代にも引き継がれ,城主が管理し年々詰替えをした。非常のさいの江戸廻送を中心に大坂廻送をも考慮して配置し,軍事的性格が強い。各個所定額があり,61年(寛文1)創設ないし増詰めの個所は関東,東海,85年(貞享2)増詰めも関東,東海,畿内であるが,貞享増詰分は89年(元禄2)売却させ,幕府財政に補てんした。城米はしだいに機能が変わり,浅草廻米や普請扶持,飢饉救済,米価調節のため払米(はらいまい)された。1730年(享保15)城詰米焼失の場合には幕府が詰め,以後御用米と唱えることとした。32年の西国蝗害(享保の飢饉)には大坂城米,諸国御用米を廻送し,83年(天明3)天明の飢饉にも城詰用米をもって救済した。89年(寛政1)には大名に囲米(かこいまい)を命じて飢饉に対処し,城詰用米は軍事用の備蓄に戻そうとした。
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百科事典マイペディア 「城米」の意味・わかりやすい解説

城米【じょうまい】

江戸時代,幕府領及び譜代大名の城に貯蔵された米穀。戦国大名が有事に備えて諸城に貯蔵した兵粮米に始まり,豊臣秀吉時代に,城米奉行が在任。江戸幕府は17世紀前半,譜代大名に幕領年貢米を供与するなどして詰米(つめまい)させた。城主が管理し,城付き武具とともに城主が交代しても引き継がれた。非常の際の江戸廻送,大坂廻送を考慮し,関東・東海・畿内を中心に配置。当初は軍事的性格が強かったが,後半には飢饉救済,米価調節など幕府財政補填のために払米され,御用米と唱えた。

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