円通(読み)エンツウ

デジタル大辞泉 「円通」の意味・読み・例文・類語

えん‐つう〔ヱン‐〕【円通】

《「えんづう」とも》
《「周円融通」の略》仏語智慧によって悟られた絶対の真理は、あまねくゆきわたり、その作用は自在であること。また、真理を悟る智慧の実践
円通大士」の略。

えん‐ずう〔ヱンヅウ〕【円通】

えんつう(円通)

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精選版 日本国語大辞典 「円通」の意味・読み・例文・類語

えん‐つう ヱン‥【円通】

[1] 〘名〙
① あまねく通じ達していること。
② 仏語。仏菩薩の悟りは円遍融通して、作用自在であること。円満無碍(むげ)の悟り。
三帖和讚(1248‐60)浄土「勢至念仏円通して」 〔首楞厳経‐四〕
③ (あまねく論じているところから) 論語のこと。また、論語の教え。
※菅家文草(900頃)六・水仙詞「明珠不是奏中物、玄道円通暗合符」
④ 銭一貫(千文)の異名
蔭凉軒日録‐明応元年(1492)一一月一六日「招北房一覧三幅一対、本尊月壺観音、脇李嵩人形。予代付之。円通也」
※雑俳・柳多留‐六七(1815)「円通の法味で売れる観学屋」

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普及版 字通 「円通」の読み・字形・画数・意味

【円通】えん(ゑん)つう

事理に通達する。〔梁書処士、陶弘景伝〕弘景、人と爲り圓、出處冥會、心の如し。物にへば(すなは)ち了(さと)る。

字通「円」の項目を見る

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朝日日本歴史人物事典 「円通」の解説

円通

没年:天保5.9.4(1834.10.6)
生年:宝暦4(1754)
江戸後期天台宗学僧因幡国(鳥取県)に生まれ7歳で出家する。字は阿月。無外子,普門ほか多くの号を用いた。『天経或問』に始まる西洋天文学の知識の普及は,仏教徒の信奉する宇宙観とは相いれず,ひいては仏教信仰そのものまで否定されかねないとして,仏教界はその対応に苦慮した。円通は博学多識で西洋天文学にも通じ,仏教天文観の根源である須弥山説や,インドの暦法である梵暦の擁護運動の中心的な役割を担った。代表作『仏国暦象編』(全5冊)を初め『梵暦策進』『実験須弥界説』『応天暦』その他多くの著述があり,著名な弟子には環中,信暁,霊遊らがいる。

(内田正男)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「円通」の解説

円通 えんつう

1754-1834 江戸時代中期-後期の僧。
宝暦4年生まれ。日蓮宗,のち天台宗にうつって慧澄らにまなぶ。古代インドの暦法(梵(ぼん)暦)を研究。「仏国暦象編」などをあらわし,梵暦がすぐれていることを主張した。天保(てんぽう)5年9月4日死去。81歳。因幡(いなば)(鳥取県)出身。俗姓は山田。字(あざな)は珂月。号は無外子,普門。著作に「実験須弥界説」など。

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