冬眠療法(読み)とうみんりょうほう(その他表記)hibernation therapy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「冬眠療法」の意味・わかりやすい解説

冬眠療法
とうみんりょうほう
hibernation therapy

人工冬眠治療目的あるいは治療手段とするもので、人工的に冬眠に似た状態を引き起こすが、本質的に変温動物の冬眠とは異なる。人工冬眠は1951年フランスの外科医ラボリHenri Marie Léon Laborit(1914―95)らが創始したもので、自律神経節遮断薬の混合剤を投与して、外部から加わるさまざまなストレスによる内分泌や自律神経反射の過剰な防御反応をおこさないような状態にし、これに低体温法を併用して代謝を減少させるような状態にすることをいう。手術侵襲をはじめ、ショック、外傷中毒などによって生命が危険にさらされた際に、生体が限界を超えて反応し、かえって生命維持機能に破綻(はたん)をきたすことがないようにする目的で行われる。なお、投与する薬剤にはクロルプロマジンプロメタジンペチジンを一対一対二の割合に混合したカクテル麻酔剤が使われる。また人工冬眠は、現在の低体温法の一部として応用されている。

[工藤達之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「冬眠療法」の意味・わかりやすい解説

冬眠療法
とうみんりょうほう
hibernation therapy

自律神経遮断剤の投与と冷却によって,人間を人工的に冬眠状態にしてあらゆる代謝を緩徐にすることにより,治療を行う方法。フランスの H.ラボリが考案 (1948) し,ショックや精神病の治療に応用した。精神科領域では今日用いられていないが,冬眠誘起剤として使われたクロルプロマジンが精神病の症状改善に効果のあることがわかり,今日の向精神薬による治療の端緒を開いた。また,この原理が外科手術時の低体温法にも生かされている。

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百科事典マイペディア 「冬眠療法」の意味・わかりやすい解説

冬眠療法【とうみんりょうほう】

低体温麻酔

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