准胝観音(読み)ジュンデイカンノン

デジタル大辞泉 「准胝観音」の意味・読み・例文・類語

じゅんでい‐かんのん〔‐クワンオン〕【准胝観音/准提観音】

六観音、または七観音の一。ふつうは三目一八の像に表す。除災治病延命・求児の諸願をかなえるという。

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精選版 日本国語大辞典 「准胝観音」の意味・読み・例文・類語

じゅんでい‐かんのん‥クヮンオン【准胝観音・準胝観音】

  1. 仏語。七観音あるいは六観音の一つ胎蔵界曼荼羅遍知院に位し、三目、一八臂の観音として、主として衆生のために除災・延命・求児の諸願をかなえるもの。じゅんでい。
    1. 准胝観音〈図像抄〉
      准胝観音〈図像抄〉
    2. [初出の実例]「准胝観音堂、本尊准胝同如意輪 二躰倶大師御作」(出典:高野山文書‐寛永七年(1630)一〇月・金剛峯寺堂塔建立由来書)

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改訂新版 世界大百科事典 「准胝観音」の意味・わかりやすい解説

准胝観音 (じゅんていかんのん)

サンスクリットCundiの訳で,別の名を七俱胝仏母(しちぐていぶつぼ),准胝仏母ともいい,準提とも書く。真言系の六観音の一つ。東密小野流では観音部に属し,広沢流では仏部に入れる。インドでは7・8世紀のエローラ石窟に六臂,四臂の作例が見いだされ,ジャワ島のボロブドゥールにも同様の作例がある。中国の作例については今のところ一切明らかでない。日本では,醍醐寺山上の准胝堂本尊は聖宝が求児法を修して験ありと伝え,西国三十三札所として信仰された。図像は《七俱胝仏母準提大明陀羅尼経》(金剛智訳),《七俱胝仏母所説准胝陀羅尼経》(不空訳)などに説かれ,黄白色の肉身にして十八臂三目で,それぞれ持物もほぼ一致しており,右手は第1手より説法印,施無畏印,剣,数珠,子満果(しまんか),鉞斧(えつふ),鉤,金剛杵,宝鬘左手は如意宝幢,蓮華,澡灌(そうかん),索,輪,螺,賢瓶,経篋をとる。胎蔵界曼荼羅には遍智院に仏眼仏母とともにある。ただし《覚禅抄》《阿娑縛抄》には八臂像を載せている。作品として彫刻では単独に作られた例は少なく,六観音中の1体として大報恩寺(千本釈迦堂)の例などが知られる。絵画では東京国立博物館本(平安時代)が二目八臂像で四天王を伴う図として注目される。ほかに三目十八臂の広隆寺本(鎌倉時代)などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「准胝観音」の意味・わかりやすい解説

准胝観音
じゅんでいかんのん

准胝はサンスクリット語 Cundīの音写。東密では六観音の一つ。准提とも書く。像様は3眼を有し,2臂,3臂など種々ある。災害よけなどの力があるとされ,胎蔵界曼荼羅では遍知院に配される。新薬師寺や大報恩寺に木像が残っている。

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世界大百科事典(旧版)内の准胝観音の言及

【観音】より

…《法華経》中の観世音菩薩普門品に同類の思想がみられ,この品が日本人の観音信仰の支えになっている。観音のサンスクリット名は男性名詞であるが,観音に種々の変化身があるため,オリエント(イランを含む)の母神信仰的要素がこれを通じて仏教に入りこみ,〈准胝観音〉,〈馬郎婦観音〉,〈多羅尊観音〉などを生み出した。観音の浄土は補陀落Potalakaと呼ばれる。…

【新薬師寺】より

…十二神将像は波夷羅大将(はいらたいしよう)とされる1軀をのぞいて天平期の塑像で,目にガラス玉をはめ,身体全体に彩色が施されていた。なおこのほかに,現在,奈良国立博物館に寄託されている准胝(じゆんてい)観音像(970,重要文化財)がある。【宮本 長二郎】。…

【醍醐寺】より

…現在,三宝院門跡が醍醐寺座主の地位につき,醍醐派管長を兼ねて,850余の同派寺院を率いている。 醍醐寺は,建築,庭園,彫刻,絵画,典籍,古文書など数々の寺宝を有する文化財の寺であり,参観者も多いが,上醍醐の准胝観音は西国三十三所第11番の札所として参詣者を集め,2月の〈五大力さん〉,4月の清滝大権現例祭,豊太閤花見行列,6月の大峰花供入峰をはじめとする数々の行事を通じて信仰の中心として知られ,修験系統の数多くの講組織の活動も盛んである。【大隅 和雄】
[文化財]
 下醍醐の伽藍では五重塔(952,国宝)が唯一創建当初のもので,本瓦葺き。…

※「准胝観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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