図書館情報学用語辞典 第5版 「分かち書き」の解説
分かち書き
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
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〈分け書き〉〈分別書き〉〈付け離し〉ともいう。文を一定の文法的単位ごとに分けて書くことが正書法として確立しているとき,それをいう。分けて書かれる部分はそれぞれ,どんな位置にあっても一定の形をとる。英語をはじめ世界のほとんどすべての言語は分ち書きされているが,日本語は韓国語とともに〈べた書き〉である。日本語で分ち書きが行われなかったのは,漢字と仮名という異種の文字が適当にまじりあって,文節を単位に分ち書きしているのと同じ効果があるからである。しかし,戦後,仮名で書かれる部分が多くなって文節の切れ目が不鮮明になり,分ち書きが問題にされる。分ち書きの単位は,語によるものと文節によるものとがある。小学校低学年の読本(国語)では,初期の国定教科書(例えば,〈ハナハト読本〉)は語単位であったが,その後文節単位になり,現在の検定教科書も文節単位である。しかし,これは教育上の目的から入門期に便宜的に行っているものである。将来の正書法として,片仮名ばかりを用いることを主張する〈カナモジカイ〉は文節単位を採り,〈ローマ字会〉は語単位を採っている。これは文字の種類が違い,それぞれの文字の性質が同じでないことによる。
執筆者:柴田 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
文字によって文や語を記す際に、その言語の特定の単位を明らかにするために、単位と単位との間に間隔をあけること、またその書き方。分別書きともいう。まれに注などを本文中に二行に分けて書くことをさすこともあるが、一般には前者のことである。ヨーロッパの諸言語では、単語を単位とした分かち書きが行われているが、日本語では次の3種類がある。(1)単語を単位とするもの、(2)文節を単位とするもの、(3)前二者を折衷したもの。日本語においては、漢字と仮名との境界が分かち書きの効果に類する役割を果たすため、通常は分かち書きは行われないが、仮名やローマ字だけを用いた文章や児童向けの文章には使用される。歴史的にみると、日本語に分かち書きが組織的に適用されたのは、室町時代末のキリシタンのローマ字文献が最初の例である。しかし、その表記法は後世には伝わらず、仮名の分かち書きが盛んに行われるようになるのは、明治に入ってからのことである。
[近藤泰弘]
『田丸卓郎著『ローマ字国字論』(1980・岩波書店)』
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… 次に行の進み方についてみると,横書きの場合にはいずれも上から下へ進むが,縦書きの場合には,漢字やかななどのように右から左へ進むのと,モンゴル文字,満州文字のように左から右へ進むのとがあり,後者は右横書きの文字の借用から縦書きに発展したためであると説明される。 また,ローマ字,モンゴル文字などのように単語と単語との間に空間をおくいわゆる〈分ち書き〉の習慣をもっている文字がある一方,漢字,かな,インド系諸文字などにはそのような習慣がない。そのほか,固有名詞の前に空間をおくことによって敬意を表したり,あるいは行中における位置による尊敬・謙譲の意の表明など,字の配列における習慣は個々の民族によって独自のきまりがある。…
※「分かち書き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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