分子病(読み)ブンシビョウ

百科事典マイペディア 「分子病」の意味・わかりやすい解説

分子病【ぶんしびょう】

ヘモグロビン,酵素などの生体タンパク質分子の異常による先天性疾患。最もよく研究されているのは,ヘモグロビンの構造的異常に基づく血色素病と呼ばれる遺伝性疾患で,鎌状細胞貧血のほか,黒血病,地中海貧血などが知られる。また特定の酵素の障害欠損に基づく先天性代謝病も広義の分子病に属し,フェニルケトン尿症血友病のほかガラクトース血症,無カタラーゼ症などが知られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分子病」の意味・わかりやすい解説

分子病
ぶんしびょう
molecular disease

通常の用法では,酵素などの蛋白質分子の遺伝的異常,ことに蛋白質の一次構造における突然変異に起因する先天性疾患をいう。 L.ポーリング,H.A.イタノなどが鎌型赤血球貧血を呼ぶのに初めて用いた表現 (1949) 。この貧血では,ヘモグロビンβ鎖の一次構造のうち1ヵ所だけのアミノ酸が突然変異により置換されていることから,赤血球全体の形状と溶血性が大幅に変化して,症状の原因となっている。先天性代謝異常の多くのものは,現在,特定の酵素分子の遺伝的異常によることが突止められてきているので,これらはすべて分子病と呼ぶことができる。

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世界大百科事典(旧版)内の分子病の言及

【酵素】より

…この貧血症患者の赤血球からヘモグロビンをとり出し,正常なヘモグロビンとの比較を行った結果,L.ポーリングらはそのサブユニットの中のβ鎖のグルタミン酸がバリンに突然変異している事実をつきとめた。ポーリングはこれを分子病と呼ぶことにしたが,タンパク質の生合成や一次構造に変異が起こった結果,触媒機能に異常が起こる例もその後いくつか見いだされてきた。もっともよく知られているのがフェニルケトン尿症である。…

※「分子病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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