切り替え畑(読み)きりかえはた

精選版 日本国語大辞典 「切り替え畑」の意味・読み・例文・類語

きりかえ‐はたきりかへ‥【切替畑・切換畑】

  1. 〘 名詞 〙 焼畑(やきはた)耕作のこと。また、それを行なう畑。山地に自生する雑木柴草などを焼き払った跡へ、粟、稗、蕎麦など雑穀の種を蒔(ま)き、三~四年して地力が消耗すると、別の場所に切り替えて同じ農法を繰り返す原始的農業。切替。焼畑。切畑。〔増補田園類説(1842)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「切り替え畑」の意味・わかりやすい解説

切替畑【きりかえばた】

後進地域の山野に残存する略奪農法の一つ。森林を伐採し,あとを畑地として粗放農作を行い,数年たって地力が衰えると一定期間休閑し,これを繰り返す。休閑期に植林する場合もある。対馬の牧畑奥羽地方新墾(あらき),鹿野(かの)焼,北陸地方薙畑(なぎはた)などはその一種焼畑との区別はむずかしい。
→関連項目穀草農法

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の切り替え畑の言及

【畑∥畠】より

…【黒田 日出男】
[近世]
 江戸時代の畑には年貢賦課の見地から次のような名称がある。桑畑,楮(こうぞ)畑,漆畑,茶畑,麻畑,見付畑,砂畑,山畑,野畑,焼畑,切替畑,鹿野(かの)畑,苅生(かりおい)畑,薙(なぎ)畑,林畑,荻(おぎ)畑,萱(かや)畑などである。慶長年中(1596‐1615)の美濃国検地帳には,桑畑,楮畑は上々畑なみの石盛(こくもり)13(反当り1石3斗)をつけ,麻畑,茶畑は上畑なみの12の石盛をつけたといわれるが,一般的には作付作物の種類にかかわらず,毎年作付けされる畑は地味に応じて,上,中,下,下々,山畑などに分けられる。…

【畑作】より

…しかし,地主的土地所有と稲作から受ける技術的制限と耕地条件の悪さに制約されて,本格的な資本家的発展は農地改革後の高度経済成長まではみられなかったのである。【三橋 時雄】
[日本における畑作文化]
 畑作農業には,(1)特定の耕地を占有して肥料を与え連作する方法の常畑(じようばた)と,(2)特定の期間を畑として利用し,あとは(a)樹木を植えて休閑する切替畑(きりかえばた),(b)草木のはえるままに放置しておく焼畑とがある。(1)の常畑と(2)の(a)の切替畑が丘陵や平坦部に展開してきたのに対し,(2)の(b)の焼畑が里山や奥山の一部などの山地を中心に展開してきたことは大きな違いであるが,ともに水田稲作農業が不適だとされる地方に行われてきた点が共通している。…

※「切り替え畑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android