別儀(読み)ベツギ

デジタル大辞泉 「別儀」の意味・読み・例文・類語

べつ‐ぎ【別儀/別義】

ほかのこと。別のこと。余の儀。「お願いの筋は―ではない」
考慮に入れなければならない特別の事情別状
「今度ばかりは―を以てゆるし申すなり」〈太平記・三八〉
(打消しの語を伴って)都合の悪い事。さしさわり。支障
「久兵衛さへ合点なら、身共に―ござらぬと」〈浄・八百屋お七

べち‐ぎ【別儀/別義】

べつぎ(別儀)」に同じ。
「いや、―もござりませぬ」〈伎・壬生大念仏

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「別儀」の意味・読み・例文・類語

べつ‐ぎ【別儀・別義】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 別のこと。別の意味。ほかのわけ。他事。別事。べちぎ。
    1. [初出の実例]「一旦匪平氏命。造意企已似有別儀」(出典吾妻鏡‐治承四年(1180)九月三日)
    2. 「竊(ひそか)愚意を聞えあげばやとて、驚し奉る事、別義(ベツギ)にあらず」(出典:読本椿説弓張月(1807‐11)続)
  3. 特別の理由。格別の事情。
    1. [初出の実例]「戒牒敦光朝臣草之、彼尚非公卿、但今度只別儀也、莫言々々」(出典:玉葉和歌集‐嘉応二年(1170)四月一九日)
  4. ( 打消の語を下に伴って用いる ) 具合の悪いこと。さしつかえ。支障。
    1. [初出の実例]「大ばをは茶にさへきらふ物なれど心砕けば別儀あらじな」(出典:咄本・醒睡笑(1628)五)
    2. 「所の者の申すも別儀なく」(出典:仮名草子・智恵鑑(1660)四)
  5. するべきでないこと。裏切ること。
    1. [初出の実例]「一には、主に弓を引、べつぎ、べっしんをしたる人は、知行おも取、すへもさかへ、孫子迄もさかると見へたり」(出典:三河物語(1626頃)三)

べち‐ぎ【別儀】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「べち」は「別」の呉音 )
  2. べつぎ(別儀)〔文明本節用集(室町中)〕
  3. 抹茶茶銘一つ腋芽のみで製したもの。
    1. [初出の実例]「まつぼのうちにとりこもり、〈略〉極上別儀の御ちゃをも色をもさらにわきまへず」(出典:御伽草子・酒茶論(古典文庫所収)(室町末))

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