茶葉につけられた名前。等級によって茶葉が区別されるようになったのは室町時代中期のことと考えられる。当初は吉(よし)、ヒクツ、安茶、番茶などの名が中心であった。その後、天文(てんぶん)年間(1532~55)になると、別儀(べちぎ)、無上(むじょう)、揃(そそり)、砕(くだけ)、簸屑(ひくず)、山茶などの名がつけられて、品質の区別がなされている。この場合、別儀・無上は濃茶(こいちゃ)、他は薄茶用に使われるのが通常である。別儀の名のおこりは、村田珠光(じゅこう)の弟子であった筆屋が茶会を催したとき、無上の袋を茶壺(ちゃつぼ)から抜き出して卓上に広げ、好き葉ばかりを細箸(ばし)で選び、臼(うす)でひいて客に供したところ、その美味に驚いて茶の銘を尋ねたため、別儀にいたしましたと答えたところからおこったと伝えている。また、茶葉の蒸しを常の葉とは別にして蒸させたために、「よき茶」の代名詞と考えられるようになったともいう。ともあれ、茶銘の原初的な姿である。江戸時代に入ると、宇治茶では「白」や「昔」の名が使われるようになる。白は新茶を蒸して製茶すると白くなるところから名づけられた銘。昔は21日を意味する合わせ字で(廿一日を詰めた字)、旧暦3月21日に茶の葉を摘み始めたことからとか、春分の日から21日目に摘んだ葉であるからとか、いろいろな伝えがある。その後、茶銘は茶会に一つの景色(けしき)を添えるものとなり、大名や僧侶(そうりょ)、茶道家などがそれぞれ自由な銘をつけることが多くなった。現代では、茶商の商標として、各宗匠の好みによって種々の茶銘がつけられている。
[筒井紘一]
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