デジタル大辞泉 「加賀節」の意味・読み・例文・類語 かが‐ぶし【加賀節】 1 室町時代に流行した小歌。加賀国から出た遊女(加賀女かがめ)が都で歌いはやらせたものという。2 「嘉太夫節かだゆうぶし」に同じ。3 万治・寛文(1658~1673)のころ、江戸で歌舞伎役者多門庄左衛門などが歌いはじめた俗曲。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「加賀節」の意味・読み・例文・類語 かが‐ぶし【加賀節】 〘 名詞 〙① 室町時代の小唄。加賀(石川県南部)地方で歌われ出した民謡に始まるという。詞章不明。[初出の実例]「加賀ぶしなどは今は聞たる人もまれに候べし」(出典:宗五大草紙(1528)大酒の時の事)② 寛文(一六六一‐七三)から元祿(一六八八‐一七〇四)頃に流行した小唄。[初出の実例]「釈迦のむかしの加賀節の声 待給ふ利(とき)の三右のあかつきを」(出典:俳諧・桃青門弟独吟廿歌仙(1680)白豚独吟)「太鞁女郎(たいこぢょらう)に加賀(カガ)ぶし望みてうたふて引をそれをも心をとめて聞ず」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)一)③ 江戸初期、宇治加賀掾の作り出した浄瑠璃節。嘉太夫節。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「加賀節」の意味・わかりやすい解説 加賀節 (かがぶし) (1)室町時代の小歌。詞章不明。武士のあいだに流行。(2)寛文年間(1661-73)に流行した小歌。詞章は《松の葉》《若緑》の書物に見られる。〈勤めものうき一筋ならば とくも消えなん露の身の 日かげ忍ぶの夜々ひとに 逢ふを勤めの命かな〉などというように遊女との逢瀬や別れの心情を主題としたもので,当時の歌舞伎俳優たちが歌ったもの。(3)宇治加賀掾の曲節。宇治嘉太夫は1677年(延宝5)に受領して加賀掾となったので,嘉太夫節を加賀節といっていたことがある。→嘉太夫節執筆者:竹内 道敬 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報