古浄瑠璃の曲節。1675年(延宝3)京都に一座を興した宇治嘉太夫が始めた。嘉太夫は77年受領して宇治加賀掾となったので加賀節ともいわれた。彼の語り口は,大坂の井上播磨掾(はりまのじよう)の播磨節をやわらげ,それに謡曲,平曲,幸若(こうわか),流行の小歌などを取り入れて,曲節をこまやかにした。とくに謡曲を浄瑠璃の基本と考えていたのは,他の古浄瑠璃に見られない特色で,上品さのもととなった。古浄瑠璃と義太夫節の中間にあってその橋渡しをしたといえる。義太夫節にこまやかな語り口をしめして大きな影響を与えた。その曲節は加賀掾が刊行した曲節付きの大字8行本や《大竹(おおたけ)集》《竹子(たけのこ)集》などの段物集で知られる。
執筆者:竹内 道敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…和歌山宇治の出身。謡曲を始めとして狂言,平曲,舞曲,小歌などの諸音曲を学び,それらの長所を意欲的に摂取した嘉太夫(かだゆう)節(加賀節)を創始する。1675年(延宝3)京都に一座を興し,嘉太夫(当初は賀太夫)を名のり,77年には加賀掾を受領,85年(貞享2)大坂での竹本座との競演には敗れたが,以後も京都を本拠に上方浄瑠璃界の第一人者としての名声を保ち続けた。…
※「嘉太夫節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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