嘉太夫節(読み)カダユウブシ

デジタル大辞泉 「嘉太夫節」の意味・読み・例文・類語

かだゆう‐ぶし〔カダイフ‐〕【×夫節】

古浄瑠璃一派で、延宝(1673~1681)のころ宇治嘉太夫加賀掾かがのじょう)が創始。優美な節配りと軟らかな語り出しで、京都人気を博した。加賀節宇治嘉太夫節

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精選版 日本国語大辞典 「嘉太夫節」の意味・読み・例文・類語

かだゆう‐ぶしカダイフ‥【嘉太夫節】

  1. 〘 名詞 〙うじかだゆうぶし(宇治嘉太夫節)
    1. [初出の実例]「弐匁取は手づからともし火細め、枕に敷紙して、嘉太夫ぶしのなづむ所を語りけして」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「嘉太夫節」の意味・わかりやすい解説

嘉太夫節 (かだゆうぶし)

浄瑠璃の曲節。1675年(延宝3)京都に一座を興した宇治嘉太夫が始めた。嘉太夫は77年受領して宇治加賀掾となったので加賀節ともいわれた。彼の語り口は,大坂井上播磨掾(はりまのじよう)の播磨節をやわらげ,それに謡曲,平曲,幸若(こうわか),流行の小歌などを取り入れて,曲節をこまやかにした。とくに謡曲を浄瑠璃の基本と考えていたのは,他の古浄瑠璃に見られない特色で,上品さのもととなった。古浄瑠璃と義太夫節の中間にあってその橋渡しをしたといえる。義太夫節にこまやかな語り口をしめして大きな影響を与えた。その曲節は加賀掾が刊行した曲節付きの大字8行本や《大竹(おおたけ)集》《竹子たけのこ)集》などの段物集で知られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嘉太夫節」の意味・わかりやすい解説

嘉太夫節
かだゆうぶし

古浄瑠璃の一派。延宝3 (1675) 年京都で宇治嘉太夫 (受領号加賀掾) が始めた語り方で,謡曲風を特色とし,門人多く,正徳1 (1711) 年彼の死にいたるまで京都で盛行した。大坂で活躍した井上播磨掾とともに,古浄瑠璃の最後を飾る太夫として竹本義太夫に多大の影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の嘉太夫節の言及

【宇治加賀掾】より

…和歌山宇治の出身。謡曲を始めとして狂言,平曲,舞曲,小歌などの諸音曲を学び,それらの長所を意欲的に摂取した嘉太夫(かだゆう)節(加賀節)を創始する。1675年(延宝3)京都に一座を興し,嘉太夫(当初は賀太夫)を名のり,77年には加賀掾を受領,85年(貞享2)大坂での竹本座との競演には敗れたが,以後も京都を本拠に上方浄瑠璃界の第一人者としての名声を保ち続けた。…

※「嘉太夫節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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