生産年齢人口(15歳以上人口)中に占める労働力人口の比率で,労働力化率ともいい,労働供給の指標として利用される。労働供給とは,世帯にあって相互に競合する仕事,通学,家事,余暇の諸活動の中から就業条件を勘案しながら特定の仕事を選択する行動をいうものであるから,労働力率は就業条件のいかんによるのはもちろんだが,その他にも当人の世帯における地位の違いによる競合関係の差異や家業の有無といった世帯の種類や就業をめぐる社会慣習のいかんによるところも多い。それは労働力の縁辺部に当たる女子や高齢者において著しい(〈縁辺労働力〉の項参照)。
日本では第2次大戦後に労働供給の構造的変動を2回経験した。戦後の初期に未婚女子の雇用労働者としての職場進出が急速に広がったこと,昭和40年代の中ごろから都市を中心に主婦のパートタイムの就業が急増したことの二つである。また,年金との関係において高齢者の労働力率が今後どのように推移するかは雇用政策上の大問題である。労働力率が世界の各国でどのようになっているかをみると,15~19歳では男子は50%前後,女子は40%前後の国が多いが,日本とフランスは男女とも著しく低い。25~59歳の男子では差は小さいが,60歳を超えるとその差はふたたび拡大し,65歳以上の男子ではメキシコ,ポルトガル,日本がきわだって高い。日本と韓国では女子の25~29歳の労働力率が落ち込んで,女子の労働力率は全体としてM字形を描くが,他の諸国では単峰の山形をなしている。また,ヨーロッパでは女子の労働力率はデンマーク,スウェーデンなど北欧で高く,イタリア,スペインなど南欧が低く,その差はかなり大きい。社会主義諸国も女子の労働力率が高い。
執筆者:梅村 又次
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…労働供給の総量は総人口の変動によって規制されるが,総人口のすべてが労働力人口ではない。総人口のなかでの生産年齢人口の割合,生産年齢人口のなかでの労働力人口と非労働力人口との割合(これを労働力率という)によって労働供給量は変動する。そして,この労働力率は,国民の標準的な生活水準,生活様式,家族形態などをはじめ,勤労観,家庭観,教育観,社会観などの価値意識を含む経済的・非経済的要因によって影響を受けながら不断に変動する。…
※「労働力率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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