全国勤労者音楽協議会連絡会議の略称。日本各地に会員を有する音楽鑑賞集団で,1949年11月大阪で最初の音楽会が開かれた。そのスローガンは〈良い音楽を安く〉〈企画運営を会員の手で〉であり,直接には政治的なものとはかかわらない場にあって,音楽をとおして人間性を高めることに目的があった。55年には第1回全国労音連絡会議が開かれた(20労音,会員数13万人)。その後も会員数は増え,65年には65万人に達し,日本音楽界に大きな影響を与える組織となった。労音は敗戦後の復興期に,勤労者の音楽に対する欲求を満足させるべく,安い料金で音楽鑑賞の場を設定しながら運動をしてきたことに意味があった。そのために,興行師などの中間存在をおかない運営をしてきた。しかし,高度経済成長を経て,勤労者の生活に余裕ができてくるに従って,多少料金は高くなってももっと良い音楽を聴きたいという層も出てき,70年代以後,会員数は伸び悩んでいる。2007年5月現在の加盟団体は50。《月刊音楽》を発行している。
執筆者:上野 博正
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勤労者音楽協議会の略称。働く者のための音楽普及を目的として、1949年(昭和24)大阪で発足、「良い音楽を安く聞く」「企画運営を会員の手で」をスローガンとした。以後、全国各都市に波及し、55年には全国労音連絡会議が結成され、加盟20団体、会員数13万に達した。さらに60年代にかけて活動の幅を広げ、東京労音の『可愛い女』(1959)、全国労音の『劉三姐(リューサンチェ)』(1962~64)などのミュージカルの自主製作をはじめ、『森の歌』など合唱運動への参加も目だった。1960年代後半以降、高度経済成長などの時勢の変化や、音協(全国文化団体連合傘下の各地音楽文化協会)や民音(財団法人民主音楽協会)などの進出に伴って、会員数は伸び悩んでいる。2001年現在、加盟55団体、会員数約10万。
[大島 勉]
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