十地(読み)じゅうじ(英語表記)daśa-bhūmi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

十地
じゅうじ
daśa-bhūmi

菩薩が修行して経過すべき 52位の段階のうち第 41位から第 50位までの 10位をいう。菩薩思想の発展とともに大乗仏教で強調された重要な修行論。名称,数などが初めから一致していたわけではないが,竺法護によって漢訳された『漸備一切智徳経』 (297) では,すでに十地思想がはっきり確立していたことがわかる。十地として確立した名称は歓喜地,離垢地,発光地,焔慧地,難勝地,現前地,遠行地,不動地,善慧地,法雲地である。その内容については大乗諸経論中で論じられている。特に,唯識関係の論書では,十地において認識上の 10種の障害が取除かれ,それぞれの段階で 10種の波羅蜜 (→十波羅蜜 ) が実践されると説く。

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デジタル大辞泉の解説

じゅう‐じ〔ジフヂ〕【十地】

菩薩(ぼさつ)が修行しなければならない52の段階のうち、第41位から第50位までの階位華厳経では、歓喜地・離垢地・発光地・焔慧地・難勝地・現前地・遠行地・不動地・善慧地・法雲地。ほかに、声聞(しょうもん)や縁覚(えんがく)の十地などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅうじ【十地】

仏教を修行する過程での10の境地・段階を指す。サンスクリットdaśa‐bhūmiの訳語であるが,他に〈十住(じゆうじゆう)〉とも訳されている。しかし,十住は十地よりも低い段階を指している場合もある。仏教経典中には何種類かの十地が説かれているが,もっとも代表的なものが〈菩薩(悟りを求め修行している人)の十地〉で,悟りの境地すなわち仏となる直前に経過しなければならない10段階の総称である。またその最後の第十法雲地(ほううんじ)を略して十地ということもある。

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大辞林 第三版の解説

じゅうじ【十地】

〘仏〙 菩薩の実践の段階を一〇に分けて示したもの。華厳経などでは五二位のうち四一位から第五〇位にあたる歓喜地・離垢りく地・発光地・焰慧えんこ地・難勝地・現前地・遠行地・不動地・善慧地・法雲地の称。他に大品般若経の十地、声聞しようもん・縁覚の十地などもある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

じゅう‐じ ジフヂ【十地】

[1] 〘名〙
① 仏語。仏のさとりをうるまでの修行段階を一〇に整理したもの。乾慧地・性地・八人地・見地・薄地・離欲地・已作地・辟支仏地・菩薩地・仏地の一〇種や歓喜地・離垢地・発光地・燄慧地・難勝地・現前地・遠行地・不動地・善慧地・法雲地の一〇種などの外に、声聞の十地・縁覚の十地があり、また仏の十地として仏の徳を一〇の面から数えたものなど、数種がある。〔即身成仏義(823‐824頃)〕
※源平盛衰記(14C前)二四「十地(ジウヂ)の階級によりて、報身能化の形異なれども」
② 菩薩のこと。
霊異記(810‐824)上「亦大僧等、徳は十地に侔(ひと)しく、道は二乗に超えたり」

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