波羅蜜(読み)ハラミツ

デジタル大辞泉 「波羅蜜」の意味・読み・例文・類語

はらみつ【波羅蜜】

《〈梵〉pāramitāの音写。到彼岸・度と訳す》仏語。迷いの世界である此岸しがんから、悟りの彼岸ひがんに到達すること。また、そのための修行六波羅蜜十波羅蜜がある。波羅蜜多はらみった
《「ぱらみつ」とも》クワ科の常緑高木。葉は楕円形で革質。雄花雌花とが咲き、円筒状の淡黄色の実を結ぶ。果実食用、材は建築・器具用。インド原産。ながみパンのき。ジャックフルーツ

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精選版 日本国語大辞典 「波羅蜜」の意味・読み・例文・類語

はらみつ【波羅蜜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [梵語] pāramitā の音訳。到彼岸・度などと訳す ) 仏語。迷いの此岸(しがん)から悟りの彼岸(ひがん)に渡る意味で、ふつう、仏になるために菩薩が行なう修行のこと。これに六波羅蜜、十波羅蜜などを数える。波羅蜜多
    1. [初出の実例]「かくのごとき諸の相は皆先の世の若干の行ひの力ら、諸の波羅蜜の成せる所なり」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
    2. [その他の文献]〔勝鬘経‐十受章〕
  3. ( 「ぱらみつ」とも ) クワ科の常緑高木。パンノキの一種。インドからマレー半島原産で、旧世界の熱帯圏で広く栽植される。樹高は約一〇メートル。葉は楕円形または倒卵形で長さ二〇~三〇センチメートルで、縁は滑らかで切込みがない。雌雄同株。果実は長さ三〇~六〇センチメートルの長楕円形で樹幹から直接ぶらさがり、表面に六角形の瘤(こぶ)がある。淡黄色に熟し、甘味芳香が強く生食する。ながみパンのき。〔和漢三才図会(1712)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「波羅蜜」の意味・わかりやすい解説

波羅蜜
はらみつ

仏教、とくに大乗仏教の実践の根幹となる術語。サンスクリット語およびパーリ語のパーラミターpāramitāの音写。「波羅蜜多(はらみった)」とする訳者もある。原語はparama→pārami+tā→pāramitāで、paramaは完全・最上を意味して、pāramitāは「完成、極致」を表すが、漢訳者はこれをpāra(m)+i+taと解して、pāraは他・彼岸(ひがん)、iは「行く」を表すから、全体を「到彼岸」「度」と訳す場合が多い。チベット訳もこれに倣う。

 大乗仏教は、〔1〕布施(ふせ)(与える)、〔2〕持戒(じかい)(戒律を守る)、〔3〕忍辱(にんにく)(耐え忍ぶ)、〔4〕精進(しょうじん)(努力修行)、〔5〕禅定(ぜんじょう)(精神集注)、〔6〕智慧(ちえ)(般若(はんにゃ)ともいう)の六波羅蜜(ろっぱらみつ)を説く。その際、布施には、施者、受者、施物にいっさいこだわらず、とらわれないのを、布施波羅蜜と称するように、かならず「空(くう)」思想によって裏づけられる。のち、さらに、方便、願、力、智の四を加えて、十波羅蜜(じっぱらみつ)の説もある。

[三枝充悳]

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世界大百科事典(旧版)内の波羅蜜の言及

【仏教】より

…定と慧を合わせて止観(しかん)ということもある。大乗では実践を六波羅蜜(ろくはらみつ)にまとめる。波羅蜜とは完成されたあり方,もしくは理想世界(彼岸)にわたることと解釈される。…

【六波羅蜜】より

…〈ろっぱらみつ〉ともいう。波羅蜜はサンスクリットのpāramitāを音写した語で,波羅蜜多ともされる。〈完成した,到達した〉を意味し,仏教経典では古くは〈度(ど)〉,またのちには〈到彼岸(とうひがん)〉などとも訳されている。…

※「波羅蜜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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