千社詣(もう)でをする者が社殿の天井や柱に貼付(てんぷ)する札をいう。普通は長方形の紙の札であるが、木札や真鍮(しんちゅう)のものもある。自己の住所・氏名などが記されている。江戸で天明(てんめい)期(1781~89)以後稲荷(いなり)千社詣でが盛んになり、千社札が流行したという。麹(こうじ)五吉、天愚孔平(てんぐこうへい)などがこれを始めたとして知られている。札は最初は手書きであったが、のちには趣向を凝らした木版刷りとなった。初めは信心から発したが、しだいに趣味的なものとなり、仲間同士が交換会を催すようになった。
ここから題名納札と交換納札の二つの流れができた。自己を表す住所、氏名、屋号、雅号、俗称などを「題名」というが、題名を記した札が貼(は)ってある間は参籠(さんろう)しているのと同じ功徳(くどく)を受けるという民間信仰が、題名納札を支えている。神社仏閣に札を貼ることを「札を納める」といい、貼る札は墨一色刷りを用いる。これに対し、交換を目的としたものを交換納札という。千社札文字とよばれる独特の書体をもつ文字に、絵や柄(がら)を配し、彫りから摺(す)りに至る工程のすべてに高い技術と贅(ぜい)を尽くした札がつくられて納札仲間内で交換されてきた。納札愛好者間では、「せんしゃふだ」とよばれている。また札を手の届かない高い所などに貼るのを自慢し、このため振り出し竿(ざお)と夫婦刷毛(めおとばけ)というのを使って天井などに貼り付けている。
[大藤時彦]
『関岡扇令編『江戸コレクション千社札』(1983・講談社)』▽『渡部武・関岡扇令著『千社札』(1975・淡交社)』
…千ヵ寺詣と混交して,神社寺院の別を問わないのがふつうで,札所(ふだしよ)もとくには定めず,1000という数字にこだわるものでもない。むしろ特色になるのは巡拝者のひとりひとりがそれぞれに意匠をこらした千社札(ふだ)で,特別なくふうをほどこした長いさおの先にこれをつけ,境内の建物のあちこちに貼ってまわる。千社に参拝する風習そのものは平安時代末にもあったが,庶民信仰の興隆のなかで,天愚孔平とか江戸麴町の五吉などのグループにより都市の独特の風俗となったのは,江戸時代も中ごろ以後のことである。…
※「千社札」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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