半知(読み)ハンチ

デジタル大辞泉 「半知」の意味・読み・例文・類語

はん‐ち【半知】

知識が中途半端なこと。
江戸時代、藩の財政救済のため、領主が借り上げの形式家臣知行俸禄半分に減じたこと。

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精選版 日本国語大辞典 「半知」の意味・読み・例文・類語

はん‐ち【半知】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 本来の知行(ちぎょう)、すなわち領地の半分。
    1. [初出の実例]「三十万石半知になりても人を減ぜざるにより」(出典:随筆・甲子夜話(1821‐41)一九)
  3. 江戸時代、藩財政の窮乏を補う手段として、領主が家臣に対し、借上(かりあげ)・上米(あげまい)などと称する知行・俸祿削減を行ない、甚だしい時には俸祿の半分にも達したところからの称。
    1. [初出の実例]「半知以上の借揚げに遇ひて、主を恨むること怨敵の如く」(出典:経世秘策(1789‐1801)上)
  4. 知識・理解が生半可なこと。→半知半解

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半知」の意味・わかりやすい解説

半知
はんち

本来の意味は知行(ちぎょう)の半分。江戸時代に武士に対する処罰として知行の半分を没収すること。また大名が財政窮乏を補うため、家臣の知行・俸禄(ほうろく)の一部を借り上げ、あるいは削減したことをさした。借り上げ、上米(あげまい)、献米などともいう。後者は近世中期以降に諸藩で実施され、しだいに恒常的に借り上げる例が多くなった。さらに面扶持(めんぶち)・擬作(あてがい)と称し、知行高を無視して家臣の家族数に応じて扶持を支給する藩もあった。江戸幕府享保(きょうほう)の改革のときに実施した上米の制も、この借り上げの一つに数えられる。

[根岸茂夫]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「半知」の解説

半知
はんち

江戸時代,領主から家臣に与えられた知行高の半分。ただし普通は財政難に陥った幕府や藩が家臣から半知を借り上げることをいう。家臣の俸禄を削減する財政救済策を上げ米・借上(かりあげ)・借高・借知などといい,半知は削減率が50%の場合にあたる。江戸中期以降は頻繁に行われたので,家臣の負担を軽減するため期限を限ったり,一定以上の知行高の者に対象を限定するなどの対策もとられたが,しだいに恒常化。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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