経世秘策(読み)ケイセイヒサク

デジタル大辞泉 「経世秘策」の意味・読み・例文・類語

けいせいひさく【経世秘策】

江戸中期の経世書。2巻。補遺・後編。本多利明著。寛政年間(1789~1801)成立。開国交易・属島開発による富国政策を論じた。

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精選版 日本国語大辞典 「経世秘策」の意味・読み・例文・類語

けいせいひさく【経世秘策】

  1. 江戸中期の経済書。四巻。本田利明著。寛政年間(一七八九‐一八〇一)成立。貧困からくる社会矛盾の解決をはかり、産業基礎とする富国策を論じたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「経世秘策」の意味・わかりやすい解説

経世秘策 (けいせいひさく)

江戸後期の経世家本多利明が,国を経営し富ますための秘訣となる政策を論じた書。1798年(寛政10)成る。上下2巻,補遺,後編(一名《国家豊饒策》)。彼の思想,政策が体系的に示された代表作の一つ。上下巻においては,富国策の基本として焰硝(=爆薬,国土開発の手段),諸金(金銀銅鉄鉛山の開発,重金主義的術策),船舶(海外貿易のための“長器”で官営を主張),属島(北海道・樺太を主とする科学的な自然開発)の〈四大急務〉を説く。国家の理想像を中国よりヨーロッパ諸国に移すべきことを主張,官営貿易によって,鎖国体制を超えて万国との有無相通の交易を説く。補遺では,ロシア南下の脅威をふまえ,北海道・樺太の具体的開発策を述べる。〈後編〉では,算数を基盤とし,天文・暦学の重視,紙張障子をガラスに替えるべきこと等を唱え,また淀川・阿武隈川・千曲川,猪苗代等の開発を先駆的に指摘した。《日本思想大系》所収。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「経世秘策」の解説

経世秘策
けいせいひさく

「国家豊饒策」とも。江戸後期の代表的経世論書。2巻・補遺・後編。本多利明著。1798年(寛政10)成立。のちに2巻のみ刊行。経世秘策とは国を経営し富国とすべき秘訣となる政策の意。ここでの国は藩ではなく日本をさす。みずから見聞した1783年(天明3)の飢饉からの鋭い危機意識を背景に,従来の儒教的な経世論とは異なり,西洋の知識に裏づけられた富国策を示した。具体策として,開発用の爆薬の製造,鉱山開発,海外貿易のための船舶の建造蝦夷地を主とする日本近辺の諸島の開発の4大急務を詳述,小急務として河川の開発を論じる。「日本思想大系」「日本経済大典」所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「経世秘策」の意味・わかりやすい解説

経世秘策
けいせいひさく

江戸後期の経世家本多利明(としあき)の主著の一つ。寛政(かんせい)年間(1789~1801)の著作。都市・農村の荒廃、ロシア使節の蝦夷地(えぞち)(北海道)来航など、識者の関心を高めたが、実学開明論者の利明は積極的に自説を表明した。本書は上・下巻、補遺、後篇(こうへん)からなる。金銀銅、焔硝(えんしょう)、塩などから玻璃(はり)の製作、河川の開通等に関して国富、流通、貿易の面から論じ、また蝦夷地開発の制度化による推進、都市の生活、治安の維持を、火災、米価、夜盗を例に改革を説いた。為政者に対する警世の書である。

[末中哲夫]

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旺文社日本史事典 三訂版 「経世秘策」の解説

経世秘策
けいせいひさく

江戸後期,本多利明の経世書
1789〜1800年ころ成立。上下2巻。積極的な貿易振興による国力の増強を説き,一種の重商主義的な富国策を強調した。

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