日本大百科全書(ニッポニカ) 「南関東地震」の意味・わかりやすい解説
南関東地震
みなみかんとうじしん
関東地方南部で将来発生が想定されるマグニチュード(M)7クラスの直下型地震。南関東地域は、この地域をのせている北アメリカプレートの下に、東側日本海溝から太平洋プレートが、南側相模トラフからはフィリピン海プレートが潜り込んでおり、太平洋・フィリピン海両プレートは南関東の下で接触している、というきわめて複雑な構造の場所であり、これらのプレートの境界面近くで発生すると考えられている。相模トラフ沿いの1923年(大正12)の関東地震(M7.9)型の巨大地震が次におこるのは100~200年先と考えられているが、これに先だって、プレートの潜り込みによって蓄積されたひずみエネルギーの一部が、いくつかのM7程度の地震として放出される可能性が高いと考えられている。このタイプの地震がプレート境界面付近のどこでいつ発生するかを特定することは困難であるため、その発生の可能性のある地域(山梨県および静岡県の東部を含む1都6県の地域)に、ほぼ等分布にM7.0となる地震断層19個が想定されている。中央防災会議は1992年(平成4)8月、この直下型地震対策についての大綱を策定した。なお、この大綱は、1995年におきた阪神・淡路(あわじ)大震災の教訓を踏まえ、1998年6月に改定されている。
これらの検討結果はその後、日本の政治・行政・経済の中枢機能が集中する首都圏の機能維持に重点を置いた防災対策を推進するために、中央防災会議の内部に設けられた防災対策推進検討会議において引き継がれ、首都直下地震に焦点を絞った検討が行われている。
[長宗留男・浜田信生]