印伝(読み)インデン

デジタル大辞泉 「印伝」の意味・読み・例文・類語

インデン(〈ポルトガル〉Indian/〈オランダ〉Indiën)

羊または鹿のなめし革。柔らかで小皺こじわがあるため独特の感触がある。あい模様を型染めしたり、漆をひいて模様をつけたりして、袋物などに使う。江戸中期以降、甲州名産。インデン革。
[補説]インドから伝わったといわれ、「印伝」とも書く。

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精選版 日本国語大辞典 「印伝」の意味・読み・例文・類語

インデン【印伝】

〘名〙 (indian indiën インド伝来の意に解して「印伝」の字をあてた)
① 羊または鹿のなめし革。染色し漆で模様をつけ、袋物などに使われる。もとはインド産のなめし革であったが、近世、甲州の名産として、多く牛の革を加工したものが知られた。品質、産地などによって様々な名称がある。印伝革インデヤ
松平大和守日記‐万治二年(1659)九月二日「上々いんでんきんちゃく四つぶん」
② インデン革で作った袋物。
※雑俳・柳多留‐二六(1796)「印伝を明けて橘二分で買い」

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改訂新版 世界大百科事典 「印伝」の意味・わかりやすい解説

印伝 (いんでん)

鹿皮などの獣皮をなめして柔らかくし,漆や型紙を用いて文様を現した染革一種。16世紀中ごろにインドから伝来したといわれ,〈印伝〉の名がある。皮特有の適度の伸縮性があり,また染色性もよく,江戸・明治時代には袋物やタバコ入れとして珍重された。現在では山梨県甲府市にこの技法が伝えられ,甲州印伝と呼ばれている。これは主として型紙を用い,文様を漆で表したものである。
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百科事典マイペディア 「印伝」の意味・わかりやすい解説

印伝【いんでん】

羊または鹿のなめし革。しぼが細かく,肌合(はだあい)が柔らかい。染色を施し,多くは漆で模様を描き,袋物に賞用。甲州印伝が有名。名はインド伝来にちなむ。
→関連項目甲府[市]

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