日本大百科全書(ニッポニカ) 「原六郎」の意味・わかりやすい解説
原六郎
はらろくろう
(1842―1933)
実業家。豪農進藤丈右衛門の六男として但馬(たじま)国(兵庫県)朝来(あさご)郡に生まれる。池田草庵の青谿(せいけい)学院に学び、志士と交わり尊王倒幕運動に加わる。明治維新後、欧米に留学し経済学や銀行業を学び、1878年(明治11)第百国立銀行を創立し頭取(とうどり)となる。80年東京貯蔵銀行を創立して貯蓄銀行に先鞭(せんべん)をつけ、さらに83年には横浜正金(しょうきん)銀行の第3代頭取に就任し同行の再建を果たした。また日本銀行、台湾銀行などの創立委員を歴任してわが国銀行業の確立に多大の業績を残したほか、各種企業の役員として財界でも有力な地位を占めた。後年いっさいの事業を養嗣子(ようしし)邦造に譲り、隠退してキリスト教に帰依(きえ)し宗教生活に余生を送った。
[浅野俊光]
『板沢武雄・米林富男著、原邦造編・刊『原六郎翁伝』全3巻(1937)』