帝国ホテル(読み)ていこくほてる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「帝国ホテル」の意味・わかりやすい解説

帝国ホテル(株)
ていこくほてる

ホテル業界の名門鹿鳴館(ろくめいかん)時代に欧米諸国との交流が盛んになるにつれ、首都に本格的ホテルの必要性が痛感され、外務大臣井上馨(かおる)の発案で、渋沢栄一大倉喜八郎を中心に1887年(明治20)設立。1890年ルネサンス式煉瓦(れんが)造、3階建、60余室の建物が完成し、開業。大正期になると来日外国人数が急増したため、アメリカ人建築家ライトの設計による鉄筋コンクリート造地上5階、地下1階、客室数300の本館が1923年(大正12)開業した。1933年(昭和8)長野県に上高地帝国ホテルを開業し、第二次世界大戦中には東南アジア主要都市でホテルを受託経営した。

 戦後は1952年(昭和27)占領軍からの接収を解除され、営業を再開。1954年に170室の第一新館、1958年に450室の第二新館が完成し、大型化を実現した。1967年にはライト設計の本館を撤去(一部を愛知県犬山市の「明治村」に移築)、跡地に地上17階、地下3階、772室の新本館を建設、日本万国博覧会(大阪)開催目前の1970年に完成した。さらに1983年にホテル客室、オフィス街、ショッピング街、レストラン街の機能を備えた地上31階、地下1階の「インペリアルタワー」がオープンした。1996年(平成8)には帝国ホテル大阪を開業している。創立以来、外国人の利用が多く、日本を代表する高級ホテルとの名声が高い。資本金15億円(2008)、売上高575億円(2007)。

[中村青志]

『株式会社帝国ホテル編・刊『帝国ホテル百年史』(1990)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帝国ホテル」の意味・わかりやすい解説

帝国ホテル
ていこくホテル
Imperial Hotel

東京都千代田区内幸町にある日本の代表的ホテル。1890年11月3日開業。1887年有限会社東京ホテルとして設立,1907年株式会社帝国ホテルとなる。ネオ・ルネサンス式煉瓦造の 3階建てで,屋根は木造銅板ぶきであったが 1922年火災により焼失。1920年からアメリカ合衆国の建築家フランク・ロイド・ライトの設計による新館(ロイド館)の工事開始,1923年落成した。ロイド館は,大谷石を用いた装飾や,ロビーを中心とする内部の意匠は有機的統一を保ち,日本の建築家に大きな影響を与えた(→有機的建築)が,老朽化が目立ったため 1967年解体。1970年に地上 17階の新本館が建設された。ロイド館の正面玄関とロビー部分は,愛知県犬山市の明治村に移築されている。1996年帝国ホテル大阪開業。1958年に日本に初めてバイキング料理を紹介したレストランがある。

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