共同通信ニュース用語解説 「原発輸出」の解説
原発輸出
原発の建設や運転、保守管理といった技術を外国に販売すること。地球温暖化対策として世界的に原発の新設計画が相次ぎ、民主党政権時の2010年から政府の成長戦略に位置付けられている。東京電力福島第1原発事故後は国内での新増設が見込めないため、技術継承と人材育成の点でも期待された。中国やロシアは国を挙げて受注獲得に取り組んでいる。
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原発の建設や運転、保守管理といった技術を外国に販売すること。地球温暖化対策として世界的に原発の新設計画が相次ぎ、民主党政権時の2010年から政府の成長戦略に位置付けられている。東京電力福島第1原発事故後は国内での新増設が見込めないため、技術継承と人材育成の点でも期待された。中国やロシアは国を挙げて受注獲得に取り組んでいる。
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原子力発電所の建設、運転、管理など一連の技術を外国に販売すること。原子力発電は、チェルノブイリ原子力発電所事故などの影響で世界的に停滞傾向にあったが、地球温暖化対策などを理由に見直され始め、2000年以降、各国で原発の建設計画が発表されるようになった。日本においては、国内での原発立地が困難になり、少子高齢化や製造業の空洞化によって電力消費の停滞が予想されるなかで、政府・産業界が「原子力ルネッサンス」を標榜し、原子力技術の国外展開を進めた。
2010年(平成22)、政府は「新成長戦略」の一環として「原発のシステム輸出」を構想し、国外の原発建設の受注窓口として国際原子力開発株式会社が設立された。電力会社、メーカー、産業革新機構(官民出資の投資ファンド)の共同出資による同社は、当面、ベトナムでの原発受注などに向けて事業を展開するとした。また、海外への事業展開に慎重な姿勢をとってきた東京電力グループも、中長期成長宣言「2020ビジョン」のなかで、海外事業をグループ事業の柱と位置付け、原発輸出にも取り組む方向を示した。
しかし、2011年3月の福島第一原子力発電所事故は、こうした計画にとって大きな阻害要因となった。国際原子力開発は、ベトナムへの原発輸出について、出力180万キロワット級の次世代軽水炉を候補とし、「80年間の運転が可能」などと構想していたが、巨大原発の事故被害の深刻性や高齢原発の危険性の問題に直面した。また、ベトナムの低電力料金では、原発投資を回収することは困難であるともいわれている。東京電力は「2020ビジョン」を取り下げた。
原発輸出はアメリカ、ロシア、中国、韓国なども進めつつあるが、アジアの発展途上国も福島原発事故を踏まえてエネルギー政策を見直しつつあり、影響は避けられない。
[安斎育郎]
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