原稿用紙(読み)ゲンコウヨウシ

デジタル大辞泉 「原稿用紙」の意味・読み・例文・類語

げんこう‐ようし〔ゲンカウ‐〕【原稿用紙】

原稿を書くための用紙。ふつうます目が印刷されており、200字詰め・400字詰めなどがある。

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精選版 日本国語大辞典 「原稿用紙」の意味・読み・例文・類語

げんこう‐ようしゲンカウ‥【原稿用紙】

  1. 〘 名詞 〙 原稿を書くのに便利なように罫(けい)を引いた紙。一行二〇字で、二〇行書けるようになっている四百字詰めのものが現在最もふつうに使われる。原稿紙
    1. [初出の実例]「吾輩の傍へ筆硯と原稿用紙を並べて腹這になって」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉三)

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改訂新版 世界大百科事典 「原稿用紙」の意味・わかりやすい解説

原稿用紙 (げんこうようし)

一般に原稿を書くために用いる罫線けいせん)を引いてある紙。その歴史は印刷の歴史と重なると考えられるが,由来は不確かである。現存で古いものとしては,江戸時代中期の考証学者,藤井貞幹の《好古日録》の稿本(18世紀末)があり,片面20字10行で,字を書く部分が茶色,罫の部分が白く抜かれている。随筆家,成島柳北漢詩草稿は15字12行で,和紙に木版刷りであった。《高橋是清自伝》によると,1872年(明治5)には,大蔵省で〈ペラ〉(20字10行の原稿用紙)が使われており,20字20行のものもあったらしい。樋口一葉は,明治20年代に,縦罫紙に横線を引いた手製のものと,さまざまな字詰めの市販品を使っていた。字詰めは,20,21,22,24字で20行のものと,18字22行,22字24行,27字26行,30字12行などであった。洋紙のものを最初に売り出したのは,東京の相馬屋といわれ,1898年ころ,イギリス製の紙を利用して20字10行のものを作った。筆記具が筆から万年筆に変わっていく時代背景もあって,すべりが良く乾きの速いイギリス製の洋紙,ゴロスやイーグルを用いたものが普及することになる。現在では20字10行の200字詰めと20字10行×2の400字詰めが普及しており,JIS規格になっているが,小説の長さを原稿用紙の枚数でいうときは400字詰め換算する。400字詰めが主流となったのは,明治末から大正にかけてといわれる。中国でも400字詰めが主流で,体裁も日本と同じようなものを使用している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「原稿用紙」の意味・わかりやすい解説

原稿用紙
げんこうようし

原稿を記入するためのます目のある紙で、日本のほか、中国、韓国など東アジアの漢字圏の社会で使われている。1行20字詰め10行で総字数200字のもの(「ペラ」ともよぶ)と、20字詰め20行で400字のものが一般的である。出版社で作製する用紙は、用途にあわせて字詰めを変え、挿入する図版、写真などの指定を書き込むための余白を上欄あるいは下欄にとり、用紙の左下隅に20×10、20×20などと印刷して総字数を表し、用紙右端に5、10、15、20と数字を挿入して字数計算に資するなど、レイアウト、原稿整理の便宜を配慮し、さらに自社名が印刷してある。個人用は、ペンネームを刷り、紙質、ます目の大きさ、色、ルビ振り仮名)用行間をとらぬものなど、各人の趣味、用途によって雑多である。新聞のニュース用原稿用紙は版も小型で、新聞の字詰めにあわせたものが普通である。来歴には諸説あるが、現在使用されている400字詰め原稿用紙の型を使用したものとしてもっとも古いものは、『日本外史』を書いた頼山陽(らいさんよう)のつくらせた赤線罫(けい)の用紙である。幕末から明治にかけての文士、漢学者らは、板木に原稿用紙向けの版を彫り、自ら印刷して利用していた。なお欧米にも、ます目ではないが原稿用の用紙はあった。

[鈴木 均・田村紀雄]

『串田孫一著『文房具52話』(1996・時事通信社)』

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