長さ(読み)ナガサ(その他表記)length

翻訳|length

デジタル大辞泉 「長さ」の意味・読み・例文・類語

なが‐さ【長さ】

長いこと。また、その度合い。「昼の長さ
数学で、直線または曲線に沿って測った2点間の距離。「線分ABの長さ
[類語]長いロング長大長め最長横長縦長細長い長細いひょろ長い寸法延長全長体長たけ着丈内法うちのり外法そとのり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「長さ」の意味・読み・例文・類語

なが‐さ【長さ】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「ながい」の語幹に接尾語「さ」の付いたもの )
  2. [ 一 ]
    1. 時間的に長いこと。また、その度合。
      1. [初出の実例]「命の脩(ナカサ)(みしか)さは大(はなは)だ計らざる所なり」(出典:日本書紀(720)雄略八年二月(前田本訓))
    2. 二つの時刻の間隔。
  3. [ 二 ]
    1. 空間的に長いこと。また、その度合。
      1. [初出の実例]「栴檀を一百八枝を取りて、並に長(ナカサ)二寸にして」(出典:不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045))
    2. 二点間の距離。また、細長い図形の最も長い径。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「長さ」の意味・わかりやすい解説

長さ (ながさ)
length

通常は長さとは先験的概念で線には長さが自然に備わっているとされている。数学でも18世紀まではそのように扱われてきたが,現在の数学では線の長さを厳密に定義する。長さのうちもっとも基本的なものは線分の長さである。公理的に扱うことによりこれに厳密な定義を与えることができるが,要するに線分の長さとは次のように定義される正の実数のことであるといえる。まず,一つの線分を選び,これを単位線分と呼ぶ。そして,任意に線分PQが与えられたとき,PQは単位線分の何倍であるかを調べ,はんぱがでればこれが単位線分の1/10の大きさの線分の何倍であるかを調べ,さらにはんぱがでればこれが単位線分の1/102の大きさの線分の何倍であるかを調べ,このことを限りなく続ける。このとき整数の列nn1n2,……が得られ,nは0,または正の整数で,n1n2,……は0から9までの整数となる。そこでan+(n1/10)+(n2/102)+……とおき,これを線分PQの長さと定義する。空間に直交座標系が与えられ,P,Qの座標がそれぞれ(x1x2x3),(y1y2y3)ならば,線分PQの長さは,となるのである。

 次に〈曲線の長さ〉を定義しよう。このため,曲線Cは,fgh区間ab]で定義された連続関数として,xft),ygt),zht)(atb)で表される直交座標(xyz)をもつ点の集合として与えられているとする。いま,[ab]の任意の分割at0t1t2<……<tr-1trbをとり,(fti),gti),hti))を座標にもつ点をPiとして(i=0,1,……,r),線分P0P1,P1P2, ……,Pr-1Prを作り,これらの線分の長さの和をlとする。このとき,[ab]のすべての分割に関してlが有界ならば,Cは長さのある曲線といい,これらのl上限Cの長さという。とくに,fghが連続微分可能ならばCは長さのある曲線で,その長さは次の定積分で与えられる。

執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長さ」の意味・わかりやすい解説

長さ
ながさ
length

平面内で考えたとき、重ね合わすことのできる二つの線分を、長さが等しいという。いま、ある一つの線分OEを固定して、これを単位として他の線分の長さを表す正の実数値を対応させる。このためには、の(1)のように、線分ABをOEの長さに等しく切っていき、余った部分は、OEをいくつかに等分したものを使って同様に測る。この操作を継続していく。これは、常識的な長さの測り方であるが、公理的構成の幾何学においては、この操作が可能であるように配慮して公理をつくっていかなければならない。ユークリッド幾何学では、ピタゴラスの定理(三平方の定理)が成立する。xy座標系の導入された平面においては、直交座標系により、A(a1,a2),B(b1,b2)の距離は

となる。これは、理論の構成の仕方により、他の定義から定理として導かれることもあり、またこれ自身を定義とすることもある。

[竹之内脩]

曲線の長さ

曲線L上に2点A、Bがあるとき、LのA、Bの間の長さは、次のように定める。L上、A、B間に数多くの点をとり、それらを順にP1,P2,……,Pn-1(A=P0,B=Pnとする)とする(の(2))。そして、これらの点を次々と線分で結んで折れ線をつくる。この折れ線の長さ(各線分の長さの和)が、この点のとり方を密にしていったとき、ある極限値に収束するならば、この曲線は長さがあるといい、この極限値を曲線のA、B間の長さという。曲線がx=f(t),y=g(t)で与えられているとき、曲線が長さをもつための条件は、f(t),g(t)がともに有界変動の関数であることである。とくに、曲線が滑らかな曲線であるとき、すなわち、f(t),g(t)がともにC1級関数(導関数が存在して連続であるような関数)であるときは、曲線は長さを有し、それは、

に等しい。ただし、t1、t2はA、Bに対応するパラメーターの値である。もしも曲線がy=F(x)の形で与えられているときは、長さを与える式は、

である。

[竹之内脩]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「長さ」の意味・わかりやすい解説

長さ【ながさ】

(1)線分の長さ。まず1つの線分を選び,これを単位線分と呼ぶ。そして任意の線分PQが与えられたとき,PQが単位線分の何倍であるかを調べ,半端ができればそれが単位線分の1/10の線分の何倍であるかを調べ,さらに半端ができればそれが単位線分の1/102の線分の何倍であるかを調べ,この操作を限りなく続ける。このとき整数の列n,n1,n2,……が得られ,nは0または正の整数で,n1,n2,……は0から9までの整数となる。そこでa=n+(n1/10)+(n2/102)+……とおき,これを線分PQの長さと定義する。(2)曲線の長さ。曲線上にいくつかの分点をとり,それらの分点をつないでできる折れ線の長さ(有限個の線分の長さの和)をlとする。分点による分割を限りなく細かくしたときのlの上限を曲線の長さとする。
→関連項目求積法体積面積

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の長さの言及

【ユニタリ変換】より

U*UUU*=1(単位行列)なる正方行列Uをユニタリ行列といい,ユニタリ行列で表されるCnの一次変換φをユニタリ変換という。Cnの二つのベクトル,に対して,xyとの内積といい,また,xの長さという。ユニタリ変換φは内積および長さを不変にする。…

※「長さ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android