相場用語。商品,株式あるいは為替の過去の相場の動きをグラフで表したもので,一般に〈ケイ線〉と表記する。まれに〈足取表(あしどりひよう)〉ともいう。日本では江戸時代に米相場で利用されたのが始まりというのが,いちおう定説となっている。相場はもともと不特定多数の人によって形成されるため,そこには人間の心理が反映して相場にリズムが生まれ,類似した相場の型がつくられることがある。ケイ線は,相場の過去の足取りをグラフ化して,相場のリズム,型,方向などから将来の相場を予見する目的で使われる。ケイ線は日本特有のものではなく,アメリカや西ヨーロッパ各国などでも広く使われている。ケイ線の書き方,読み方に日本独特なものはあるが,ケイ線を使用する基本的考え方は洋の東西を問わず同じである。このケイ線が最も広く使われているのが,現在では株式市場である。株式投資をする場合,本来は経済動向や企業業績などからみた投資価値によって行われるものであるが,株価は必ずしも理屈どおりに動かず,人間心理を反映して需給関係や相場のリズムに左右されることも少なくないため,その投資タイミングが非常に重要となり,その判断材料としてケイ線が活用される。ケイ線はあくまでも過去の相場の記録であり,足取りであるが,同時に将来の動きを予想するための戦闘図でもある。
ケイ線にはいくつかの種類があるが,分類方法に学術的,用語的に取り決められたものはない。野村総合研究所岡本博の分類に従うと,ケイ線は〈点的ケイ線〉と〈線的ケイ線〉に分かれ,点的ケイ線には〈とめ足〉(日とか月とかの終値を点で表現し,これを結んで図表化する),〈棒足〉(日とか月とかいう一定期間における高値と安値を1本の棒で表し,その集合で表現する),〈いかり足〉(棒足に始値と終値を付け加えたもので,始値を横棒,終値を矢印で表し,始値より終値が高ければ矢印は上向き,安ければ下向きに描く),〈ローソク足(陰陽足)〉(図参照)がある。それぞれのケイ線は期間別(日足,週足,月足,年足)に分けられる。線的ケイ線には〈かぎ足〉〈練行足〉〈新値足〉がある。点的ケイ線と線的ケイ線の違いは,グラフ上に相場の足取りを描くとき,点的ケイ線は縦軸に価格,横軸に時間をとった時系列グラフであるが,線的ケイ線は縦軸に価格をとる点では同じだが,横軸に等間隔な時間をとる必要がない。このため時系列グラフになっていない。このケイ線は相場のトレンド,つまり方向と強さ・弱さを重視したもので,目先の相場のこまかい動きを無視するのでダマシがない利点がある。一方,点的ケイ線は時間的動きをみるため〈期間別ケイ線〉のそれぞれに対応する。たとえば,ローソク足のケイ線を日々単位,週単位,月単位,年単位で描くことができる。このケイ線は,日々,週など時系列的に連続してみることができ,相場のリズムやこまかい動きをとらえることができる。また,ケイ線のリズムから経験的,確率的にいくつかの組合せをつかみ,その組み合わされた型から相場の方向をつかむことができる。さらに,相場のリズムから相場の方向を示す波動をとらえることができる。ただ,ケイ線はあくまでも投資タイミングをつかむための手段となるもので,その意味では有効であるが,ケイ線だけで投資の判断をし,決断しても必ずしも成功しない。それは,ケイ線はあくまで過去の動きで,確実に将来を予見するものではないからである。したがってケイ線は株式投資をするための手段であり,用具であるにすぎず,その有効性にもおのずから限界がある。
なおアメリカでは日本のケイ線に当たるものをチャートchartといい,チャートを読むことをチャート・リーディング,チャートを信奉する予想の専門家をチャーチストという。日本でも近年はケイ線のことをチャートということも多い。また,かつての〈ケイ線屋〉という用語は死語化しつつあり,チャーチストにとって代わられている。
執筆者:原木 保平
活版に用いる線や輪郭を作るための材料。また,その印刷された各種の線。写真植字法が盛んになってからは,写真植字機によって作った各種の線,また版下作成機で引いた線,手工的に描いた線も含めるようになった。活版で用いる罫の最も基本的なものは,厚さ1ポイント(約0.3514mm)あるいは5号活字8分の1の厚さの亜鉛板を活字の高さに切って作り,その一つの辺には鋭い稜をつける。この側で印刷すれば表罫(おもてけい)の細い線が得られ,罫の辺を逆さにして刷れば裏罫の太い線が得られる。罫線には,このような表罫と裏罫のほかに,点線(ミシン罫,リーダー罫など)や幾何学的模様をもった飾罫など多くの種類がある。
執筆者:山本 隆太郎
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株式や商品の相場の動き(足取り)をグラフで表したもので、足取り表ともいう。罫線(ケイ線)は他の株価の分析、たとえば政治・経済の動向、産業分析、企業内容の分析など要因分析とは異なり、もっぱら株価の動きを中心にした株価予測法の一つである。過去の株価に関する大量の変動資料からある種の型(パターン)を取り出し、現在の株価の動きに当てはめて現在の相場の位置をつかんだり、過去の相場の動きのパターンと現在のそれとを比較することにより、将来の株価の予測に使われる。
大別すると、(1)時系列に株価をグラフ化したもの(棒足、止め足、ろうそくなど)と、(2)かならずしも時系列にグラフ化しないもの(練足、新値足、カギ足など)がある。(1)は記録に重点が置かれ、取り上げる期間によって、日足、週足、月足、年足などがある。(2)は一定の値幅以上の動きのみを取り上げてグラフ化するから、分析的要素が強い。罫線はもともとは古い歴史をもち、江戸時代の米相場に端を発し、以後改良くふうが加えられて株価予測に応用されるようになった。その方法は種々さまざまで、統一的な技法として確立されてはいない。理論的足取りと実際の株価の足取りと完全な一致をみることは困難で、それがパターンのはめ込みや相場の見通しに差の出る原因となっている。アメリカではチャート・リーディングとよばれ、有力な株価予測法となっている。
[桶田 篤]
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…直線や曲線を引くとき,角度をかくとき,直線かどうか直線の程度を調べるとき,直角を調べるとき,または物をたつときに当てがって使う用具をいう。直線用製図用具には三角定規,直定規,T(形)定規があり,曲線用には雲形定規,たわみ定規がある。三角定規,T定規,雲形定規は木,合成樹脂などで作られている。雲形定規はいろいろな二次曲線からできており,一般に15~20種の形のものが1組となっている。大型のものは造船定規,円弧だけでできているものは鉄道定規と呼んでいる。…
…一般にはスケールscaleと呼ばれ,粗加工部品の寸法をパス,トースカンなどを用いて測定するものである。1mm目盛,または0.5mm目盛である。構造や材料は使用目的や精度によっていろいろのものが使われているが,木,竹,合成樹脂,金属,ガラスなどがある。直尺は実目盛直尺,伸縮目盛直尺,角度直尺などに分類される。ここでは,JISに規定されている金属製直尺,金属製角度直尺について述べる。金属製直尺は精密用のA形,製図用のB形,一般用のC形の3種類がある。…
…能力は活字の大きさによって違うが毎分100本以上である。
[記号活字,花型,罫線,込物]
実際に活版を組む場合,文字を表す活字のほかにもさまざまなものを組み込まなければならない。記号活字は句読点,かっこや各種の記号を印刷するためのもので,製造方法などはすべて活字に準じて作られる。…
※「罫線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
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