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江戸後期の漢詩人、史家。名を襄(のぼる)、字(あざな)を子成、号を山陽・三十六峰外史、通称を久太郎という。広島藩儒頼春水(しゅんすい)を父に、大坂の町医者飯岡義斎(いのおかぎさい)(1717―1789)の娘静子(1760―1843。号を梅颸(ばいし))を母に、その長男として安永(あんえい)9年12月27日大坂・江戸堀に生まれる。幼時より神経症に悩まされ、治療を兼ねて、18歳のとき叔父杏坪(きょうへい)に伴われて江戸に遊学したが、翌1798年帰郷した。21歳、突如脱藩出奔したが、探し出され、24歳まで自宅の一室に監禁された。この間に『日本外史』の草稿執筆が始まったという。1803年(享和3)廃嫡のうえ、幽閉を許された。1809年(文化6)30歳、父の友人菅茶山(かんさざん)の廉塾(れんじゅく)の塾頭になったが満足せず、1811年、京都に出て塾を開いた。父春水の没後、1818年(文政1)には西遊の旅にたち、約1年間九州各地を遊歴して見聞を広めた。「雲か山か呉(ご)か越(えつ)か 水天髣髴青一髪(ほうふつせいいっぱつ)」という詩句で有名な『天草洋(あまくさなだ)に泊す』という詩は、この旅中の絶唱である。このころから山陽の名も高まり、小石元瑞(こいしげんずい)、篠崎小竹(しのざきしょうちく)、浦上春琴(うらかみしゅんきん)(1779―1846)などの親友や多くの門人に囲まれ、京都の文人界の中心人物となっていった。日本の武家の歴史を記した『日本外史』は、1826年(文政9)に成り、死後出版され幕末の志士たちに読まれて山陽の名を有名にした。ほかに『日本政記』(1832)、『山陽詩鈔(ししょう)』(1833)、『日本楽府(がふ)』(1828)、『山陽遺稿』(1841)などの著作がある。天保(てんぽう)3年9月23日、肺結核により53歳で没した。墓は京都東山長楽寺に現存する。幕末の志士三樹三郎は山陽の三男。
[揖斐 高 2016年7月19日]
山陽はまず歴史家であり、そして文学者であるとともに政論家であった。内憂外患が発生し拡大していった歴史の転換期に生きた山陽は、歴史叙述に自己の天職をみいだして、情熱的な名文によって自己の所信を披瀝(ひれき)した。
すなわち、歴史過程を倫理的に支配する「天」の応報を、(1)「勢(せい)」に即し政治の得失によって変化する応報と、(2)皇室の祖先の偉大なる積徳と結び付き天皇の君主としての地位を永遠に保障する不変の応報の二つに分け、この二つの「天」の応報観念によって、為政者の栄枯盛衰、政権の交替が不可避であること、それにもかかわらず天皇ないし皇室が無窮の存在であること、そして時勢と時機を知ることの重要性などを力説したのである。
[石毛 忠 2016年7月19日]
『木崎愛吉・頼成一編『頼山陽全書』全8巻(1931~1932・頼山陽先生遺蹟顕彰会/復刻版・1983・国書刊行会)』▽『植手通有校注『日本思想大系49 頼山陽』(1977・岩波書店)』▽『頼惟勤編訳『日本の名著28 頼山陽』(1984・中央公論社)』▽『中村真一郎著『頼山陽とその時代』(1971・中央公論社/中公文庫)』
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…源平両氏から徳川氏に至る歴史を,司馬遷の《史記》世家の体裁にならい漢文体で叙述した歴史書。頼山陽の著。1800年(寛政12)脱藩後の幽閉中に執筆を始め,その後推敲(すいこう)を重ね,論賛を加えて26年(文政9)完成。…
…神武天皇から後陽成天皇に至る編年体の歴史書。頼山陽の著。山陽没年の1832年(天保3)にほぼ脱稿,門人の関藤藤陰らが完成。…
…この頃,オランダ商館からのニュースによる《風説書》や斎藤拙堂(正謙)の著作でナポレオンの活躍は日本人の注目を浴びた。佐久間象山も憧れ,頼山陽は1818年(文政1)に在世中のナポレオンをたたえる詩《仏王郎詩》を書いている。 松代藩の蘭学者,村上英俊はスウェーデンの学者ベーセリウスの《化学提要》を注文したところ,フランス語の原本が届いたことからフランス語を独学で覚え,1854年(嘉永7)《三語便覧》3巻,64年(元治1)《仏語明要》4巻を刊行し,仏学の祖といわれた。…
…一方,日本へは室町時代の末に伝来し,江戸時代にはひろく普及した。頼山陽に《謝選拾遺》6巻の補選および《評本文章軌範》7巻がある。そのほか海保漁村の《補注文章軌範》など多くの注釈書が刊行された。…
※「頼山陽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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