参差(読み)しんし

精選版 日本国語大辞典 「参差」の意味・読み・例文・類語

しん‐し【参差】

〘名〙 (形動タリ)
① 高さや長さが異なっていて、そろわないこと。等しくないこと。ふぞろいなこと。また、そのさま。
※田氏家集(892頃)上・拝仏像「身厭世網深山、仏像参差古殿間」
読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺「いと大きなる栗の樹ありて、枝葉参差(シンシ)として生繁り」 〔詩経‐周南関雎
② 互いに入り交じっていること。互いに交錯していること。また、そのさま。
※延喜式(927)一八「凡諸司官人、礼儀進退放逸任意、衣冠束体参差不正」
※中華若木詩抄(1520頃)中「参差とは、たがいちがいの心也」 〔潘岳‐間居賦〕
③ くいちがっていること。矛盾していること。また、そのさま。
※尊勝院文書‐天平勝宝七年(755)五月三日・越前国使等解「撿進解文、彼此参差、共不連署、仍還劫如件」
史記抄(1477)三「抵は物の参差としたるなりぞ」
④ 願望・意図などがかなえられないこと、またそのさま。
※内閣文庫本建武以来追加‐応安四年(1371)正月二二日「康永之法厳重之間、任理運器用、可撰補之処、近年依真俗之口入、参差之儀出来之条、不然之上」

しん‐さ【参差】

〘名〙 (形動ナリ・タリ) =しんし(参差)
※改正増補和訳英辞書(1869)「Odd 〈略〉参差(シンサ)ナル

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デジタル大辞泉 「参差」の意味・読み・例文・類語

しん‐し【差】

[ト・タル][文][形動タリ]互いに入りまじるさま。また、高低長短などがあって、ふぞろいなさま。
「楓と松が―と枝をさしかわしながら」〈谷崎・少将滋幹の母〉
「ありとあらゆる様式建築物が…、―として折り重なって」〈露伴・魔術師〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「参差」の読み・字形・画数・意味

【参差】しんし

長短・高低のそろわぬこと。〔詩、周南、関雎〕參差たる(かうさい)(あさざ)は 左右に之れを(と)る 窈窕(えうてう)たる淑女は 寤寐(ごび)に之れを求む

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