化学的に合成された甘味をもつ化合物のことで,人工甘味料ともいう。化学構造と甘味との関係は古くから研究されているが,アルデヒド基-CHO,オキシム基-CH=NOH,ハロゲン基,アミノ基-NH2,スルホ基-SO3H,トリアジン核,スルホアミノ基-SO2NH2,水酸基-OHをもった化合物がおおむね甘味が強い。しかし,現在までに開発された合成甘味料はサッカリン,ズルチン,チクロ(サイクラミン酸ナトリウム),アスパルテームなど数少ない。さらに,ズルチンとチクロはその安全性に疑いが生じ,それぞれ1968年,69年に日本では使用が禁止されている。現在,日本で使用できるのはサッカリンとアスパルテームである。完全な化学合成品ではないが,天然の糖を原料としてつくられる糖アルコールが広く用いられている。
合成甘味料は,先進工業国における砂糖資源の不足と,低カロリー甘味料の需要の増大によって必要性を増している。先進国では成人の肥満が成人病の一大原因となっており,糖質甘味料のカロリーが問題となる。合成甘味料は重量当りの甘味が強いこともあって,ほとんどカロリー源とならない。(1)サッカリン トルエンを原料として化学的に合成される。1万倍位の水溶液でも甘味があり,その強さはショ糖の500倍である。(2)ズルチン ショ糖の約200~300倍の甘味があり,安価であったことから,日本では1946年に使用が許可され,第2次世界大戦後の砂糖の不足をおおいに補った。(3)チクロ ショ糖の約30倍の甘味がある。ショ糖に似た甘味をもち,爽快感があるので,強い甘味を必要とする菓子に使われていた。(4)アスパルテームaspartame アスパラチルフェニルアラニンメチルエステルのことで,アミノ酸が2個つながったペプチドである。ショ糖の180倍の甘味がある。それまでの合成甘味料が偶然発見されたのと異なり,ペプチドの味を系統的に調べ発見したもので,合成甘味料の開発に新しい道をひらいた。
→甘味料
執筆者:田島 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新