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肥満症 ひまんしょう obesity

翻訳|obesity

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

肥満症
ひまんしょう
obesity

身体に脂肪組織が異常に蓄積した状態。通常,カロリーの摂取量が長期的に消費量を上回った結果,標準体重の 20%以上増加したものをいう。標準体重の算出法はいろいろあるが,日本では (身長-100) × 0.9が広く用いられている。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

ひまん‐しょう〔‐シヤウ〕【肥満症】

脂質代謝異常高血圧脂肪肝など肥満に起因する健康障害があるか、またはその発症が予測され、医学的に減量を必要とする状態。

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栄養・生化学辞典の解説

肥満症

 標準体重の+20%以上の体重を有する場合をいう.大半は外因性肥満で内因性肥満は少ない.単純性肥満ともいわれ,運動療法食事療法により治療される.成人病への罹患率が高い.

出典|朝倉書店
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生活習慣病用語辞典の解説

肥満症

肥満が原因で糖尿病や高血圧睡眠時無呼吸症候群高脂血症など、他の健康障害を起こしていると医師が診断したとき、肥満症という病名が付きます。これらの健康障害が起きそうだと医師が判断した場合も肥満症です。BMI が 25 以上の人は肥満です。

出典|あなたの健康をサポート QUPiO(クピオ)
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家庭医学館の解説

ひまんしょう【肥満症 Obesity】

食べすぎと運動不足が原因
[どんな病気か]
[原因]
[検査と診断]
◎まちがった食事療法に注意
[治療]

[どんな病気か]
 肥満とは、単なる体重の増加ではなく、からだに脂肪組織が過剰にふえた状態です。
 筋肉がふえて体重が増加したスポーツマンなどは、肥満ではありません。
 肥満かどうかを調べるには、脂肪組織の量を測定することが必要で、弱い電流を流して、その伝導の状態から体脂肪の割合を測定するインピーダンス法など、多くの方法があります。
 目安としては、体重に対する脂肪の割合(体脂肪率(たいしぼうりつ))が、男性では25%以上、女性では30%以上あると、肥満といえます。
 しかし、肥満であれば医学的な問題がおこるとはかぎりません。太っていても、元気で活動している人はたくさんいます。
 減量を主とする治療を必要とするようになった病気が、肥満症です。そのため、肥満症とは「脂肪組織の過剰な蓄積という身体状況が、すでに医学的な管理を必要とするようになった状態である」と定義できます。
 肥満症は、肥満に基づく病気(糖尿病、高脂血症(こうしけっしょう)、高血圧、動脈硬化症(どうみゃくこうかしょう)、心不全(しんふぜん)、ピックウィック症候群、脂肪肝(しぼうかん)、胆石(たんせき)、変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)など)をともなうか、減量しなければ、将来ともなうであろう可能性が高い肥満(内臓脂肪型肥満(ないぞうしぼうがたひまん)、上半身肥満)です。
●標準体重
 現在のところ、体脂肪率をかんたんに、正確に測定する方法は確立していません。
 ふつうは、身長と体重から基準値(標準体重)を計算し、それを何%か上回れば肥満とする方法がとられます。
 計算法 標準体重を計算する容易な方法として、
 (身長cm - 100)× 0.9kg
の式で求められるブローカの桂変法があります。
 この方法は簡便ですが、理論的な根拠がなく、低身長の人にきびしすぎる欠点があります。
 BMI 現在、世界でもっともよく使われている方法(成人の体格指数)は、BMI(ボディマスインデックス)と呼ばれるものです。これは、
 体重kg ÷(身長mの2乗)
という式で計算します。BMIが25以上の場合、肥満と判定されます。
 徳永(とくなが)・松沢法(まつざわほう) 日本人の30歳から60歳の成人で、もっとも病気にかかる率の少ないBMIは、男女とも約22であることがわかっているので、
 標準体重kg = 身長 × 身長m × 22
という計算式が提案されました。これが徳永・松沢法です。
 この標準体重の計算法は、病気になることが少ないという医学的な根拠に基づいており、BMIを基盤としているため、国際間の比較ができること、22という数字を覚えていれば簡単に計算できること、などの利点があります。日本肥満学会でも研究者の共通の尺度として採用され、広く普及しつつあります。
 肥満度 各人の標準体重から、どの程度の肥満かを知ることができ、
 (実測体重 - 標準体重)÷ 標準体重 × 100
という式によって計算します。
 この値が、プラス20%以上の人を「肥満」、プラス10%以上でプラス20%未満の人は「過体重」、マイナス10%以上でプラス10%未満の人は正常体重とします。
●どんな肥満が悪いのか
 体脂肪率や体重は、肥満を判定するうえでたいせつですが、近年それにもまして成人病と関連があると注目されているのが、からだのどの部分に脂肪がついているかということです。
 最近、体重と同時に体脂肪率もはかれるというインピーダンス法を使った器具などが出ていますが、同じ体脂肪の数値が出ても、脂肪のつき方(体脂肪の分布)によって、病気のおこりやすさはちがってきます。
 皮下(ひか)に、まんべんなく脂肪のついている皮下脂肪型肥満(ひかしぼうがたひまん)(下半身肥満、洋ナシ型肥満)は、割合に病気をともなうことがないのですが、腸の膜(まく)についた脂肪が多い内臓脂肪型肥満(ないぞうしぼうがたひまん)(上半身肥満、リンゴ型肥満)は要注意です。
 外見はそう太っていなくても、おなかが非常に出ている人は、内臓脂肪がついている可能性があります。
 おなかの中に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満では、皮下脂肪型肥満に比べて、糖尿病や高脂血症、高血圧、さらには冠動脈硬化症(かんどうみゃくこうかしょう)をおこしやすいことが明らかになっています。
 内臓脂肪型肥満の診断には、CTで腹部の断層像をとり、その内臓脂肪の面積(V)と皮下脂肪の面積(S)の割合(V/S比)が0.4以上を内臓脂肪型肥満とします。
 内臓脂肪、腸間膜(ちょうかんまく)や大網(たいもう)(胃から腸にたれ下がった腹膜(ふくまく))についた脂肪は、遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)に分解されると、直接肝臓に流れ込みます。そのため処理しきれない状態になって、肝臓のはたらきの異常がおこり、糖尿病や高脂血症、高血圧などがおこりやすくなります。

[原因]
 満腹感や空腹感は、胃で感じるように思いますが、胃自体に感覚があるわけではなく、胃からの情報は内臓に分布する、迷走神経(めいそうしんけい)をとおって、脳の視床下部(ししょうかぶ)というところにある満腹中枢(まんぷくちゅうすう)、摂食中枢(せっしょくちゅうすう)と呼ばれる部分に送られます。
 この情報は、血糖の増減などの情報とともに2つの中枢に送られ、その神経細胞のはたらきによって、満腹感や空腹感がおこります。ヒトでは、食欲は精神的なものも大きく影響します。
 遺伝や病気など、肥満の原因がはっきりしているものを、二次性肥満(にじせいひまん)(症候性肥満(しょうこうせいひまん))といいます。
 しかし、内臓脂肪型肥満を含めて、肥満の大部分は、食べすぎや運動不足による原因のはっきりしない肥満で、これを原発性肥満(げんぱつせいひまん)(単純性肥満(たんじゅんせいひまん))といいます。
 二次性肥満には、ホルモンの異常による内分泌性肥満(ないぶんぴつせいひまん)、視床下部の異常による視床下部性肥満、遺伝性肥満、薬剤性肥満があります。
 内分泌性肥満の原因にはクッシング症候群、インスリノーマ(インスリン産生腫瘍(しゅよう))などがあります。
 遺伝性肥満の原因にはプラッダー・ウィリ症候群、バーデット・ビードル症候群などがあります。
 薬剤性肥満の原因にはステロイドホルモン薬や精神科の薬があります。

[検査と診断]
 肥満検査の目的は、原発性肥満か二次性肥満かを判断するためと、病気をともなっていないか知るためです。
●原発性か二次性かをみきわめる検査
 肥満の95%以上は原発性肥満が占めていますが、もとの病気を治療すれば治る二次性肥満であるかどうかを診断し、二次性肥満なら治療する必要があります。
 視床下部性肥満を見つけるには、脳内のトルコ鞍(あん)のX線撮影などをします。
 内分泌性肥満を見つけるには、各種の内分泌臓器(甲状腺(こうじょうせん)、副腎(ふくじん))の検査や基礎代謝(安静時のエネルギー消費量など)の検査などをします。
●肥満にともなう病気の検査
 肥満にともなう病気では、糖尿病と高脂血症(「高脂血症(高リポたんぱく血症)」)がもっとも重要で、これらをさがす検査をします。
 肥満者には、体内に入った糖をうまく処理できない(代謝異常)ものが多く、ブドウ糖などを使った糖負荷検査もされます。肥満度があがると、コレステロール、中性脂肪の増加、HDLコレステロールの減少がおこります。
 また、高尿酸血症(こうにょうさんけつしょう)、脂肪肝、高血圧、睡眠時無呼吸症候群(「睡眠時無呼吸症候群」)などの病気がないかを調べます。

[治療]
 肥満の食事療法の原則は、食事全体が低エネルギーであること、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが不足しないこと、長期間続けることの3つが基本です。同時に、不適当な食習慣を改め、正しい食生活を確立していくこともたいせつです。
 多すぎる食事摂取量の制限は、絶食療法(ぜっしょくりょうほう)、超低エネルギー食(半飢餓療法(はんきがりょうほう))、低エネルギー食(減食療法(げんしょくりょうほう))の3種類に大きく分類されます。
 軽度から中等度の肥満であれば、低エネルギー食で十分に効果がありますが、高度の肥満になると、超低エネルギー食治療が必要なこともあります。
●絶食療法
 この方法では、急速に体重が減少します。内臓脂肪や皮下脂肪が減るだけでなく、脂肪以外の組織がかなり失われてしまい、たいせつな筋肉や内臓の組織が障害を受けます。
 いったん体重が減っても、また体重がもとにもどることが多く、現在ではほとんど行なわれていません。
●超低エネルギー食
 超低エネルギー食は、一般に600kcal以下の食事療法で、絶食療法の副作用をできるだけ少なくし、しかも絶食に近い減量ができるようにと生まれたものです。
 からだにとって必須(ひっす)なたんぱく質、糖質、ビタミン、ミネラルなどを含むダイエット食品が開発され、発売されています。しかし、実施するには、医師による注意深い観察下で行なわないと危険です。また、実施期間も約3か月までとされています。
●低エネルギー食療法
 これは、肥満の食事療法としてもっとも広く用いられているものです。
 1か月に1~3kg程度の減量ができます。通院の場合は、各個人の肥満度、年齢、性別、活動量に対応して、1000~1600kcalの食事療法を行ないます。
 たんぱく質は、筋肉、内臓、血液、ホルモン、酵素(こうそ)など、からだをつくるものとして重要で、ほかの栄養素でおきかえることができません。
 したがって、低エネルギー食でもたんぱく質を十分にとることが必要で、標準体重1kgあたり少なくとも1gは必要です。
 とくに日本人の肥満は、炭水化物のとりすぎによることが多く、甘いものはできるだけ制限する必要があります。
 低エネルギー食の場合、たんぱく質とビタミンやミネラルを確保すれば、脂肪や炭水化物は自然に摂取できるので、とくに考える必要はありません。
 満腹感が得られる食品(野菜、こんにゃく、海藻類、キノコ類)を用い、低エネルギーの甘味量などをうまく利用すると、量や味にある程度満足して長く食事療法を続けられます。
●運動療法
 運動によるエネルギー消費で減量を行なうことは、あまり期待はできませんが、運動は脂肪以外の筋肉などの組織を保つ意味で重要です。
 また、運動の継続によって、血清(けっせい)トリグリセリド(中性脂肪)の低下や、HDLコレステロール(いわゆる善玉(ぜんだま)コレステロール)の増加がみられ、糖や脂質の代謝によい影響を与えます。
 毎日、どこでも、いつでも、ひとりでもできる運動(歩行1日1万歩)を習慣とするとよいでしょう。
●薬物療法
 肥満治療において、薬物療法は補助的手段です。現在、日本で発売されているのは食欲抑制剤であるマジンドール剤1種類だけですが、エネルギー消費を促進する薬が開発中です。
●まちがったダイエット
 炭水化物をまったく食べないとか、油はとらないとかいった、極端なダイエットは避けるべきです。
 リンゴだけとか、キャベツだけとか、ゆで卵だけといった極端なダイエットを2~3か月間も行なうと、たんぱく質やビタミン、微量金属などが不足して、脱毛、爪(つめ)の変形、貧血、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)などをおこすことがあります。
 からだには、ビタミン、ミネラルが2~3か月分は蓄えられているので、どんなに極端なダイエットでも、2週間程度で止めておくと、こうした欠乏症はおこりません。
 意志が強く、極端なダイエットを長期間続ける人ほど、これらの障害をおこします。ダイエットは、正しい栄養学の知識をもってすべきです。
 若い女性のなかには、下半身(おしりや太もも)についた脂肪を気にしている人がいますが、下半身についた脂肪は、女性にとって、非常にたいせつな脂肪です。女性は妊娠したり、授乳期がくると、ふだんよりも多くエネルギーを必要とするため、そのエネルギー源になる脂肪をあらかじめ体内に蓄えておかなければなりません。下半身の脂肪は、そのためのものなのです。
 太っている人はカロリーは少なめにし、必要な栄養素は十分とり、運動も加えて、健康的に減量してください。

出典|小学館
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大辞林 第三版の解説

ひまんしょう【肥満症】

体脂肪が過剰に蓄積された状態。体重が標準体重より30パーセント以上多い場合をいう。生活習慣病を合併しやすい。肥胖ひはん症。脂肪過多症。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

肥満症
ひまんしょう
obesity

肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害(医学的異常)を合併する場合で、医学的に肥満を軽減する治療を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う、と定義される。厚生労働省によって1996年(平成8)に成人病という名称が生活習慣病と改められ、その急増に肥満が大きく関与していることが注目される。肥満の判定には、成人では体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で除したbody mass index(BMI)が国際的標準指標として広く使用されている。欧米人でのBMI≧30という肥満の基準とは異なり、日本人成人ではBMI≧25から健康障害が増加する。成人では基準値の設定が可能であるが、成長期では正常値が年齢で大きく変動するので、BMI自体は小児期・思春期の基準には用い得ない。日本の医療現場では1990年度の文部省学校保健統計調査に基づく年齢別、性別、身長別標準体重から肥満度(現在体重-標準体重/標準体重×100%)を算出して肥満児の判定基準として用いている。幼児では肥満度15%以上、学童以降では20~30%が軽度、30~50%が中等度、50%以上が高度肥満と判定される。体格指数(カウプ指数=体重(キログラム)/身長(センチメートル)×104、ローレル指数=体重(キログラム)/身長(センチメートル)×107)の場合と異なり、肥満度は年齢に関係なく一定であり、実際に治療するときに便利である。肥満は体に脂肪が異常に蓄積した状態であり、体脂肪率の測定が行われる。以前から皮下脂肪厚を測定して推定する方法が使われており、上腕伸側と肩甲骨下部の脂肪厚を測定する。しかしこの方式では皮下脂肪のみから体脂肪率を推定するため、より病的意義が強い内臓脂肪を計算に入れてないという理論的な問題がある。また水中体重秤量法やアイソトープ法は日常診療には用いられない。二重X線法Dual Energy X-ray Absorptiometry(DEXA法)は理論的に優れた測定法である。また生体インピーダンス法(bio-electrical impedance method:BI法)は簡便で精度の点で優れており、体脂肪率測定法として小児にも適している。着衣のままで測定が可能で、測定に熟練を要しない利点がある。体脂肪率による肥満の判定は、男子25%、女子11歳未満30%、11歳以上35%である。腹部から上に脂肪が蓄積される上半身肥満と、腰部から下に蓄積される下半身肥満も問題視されており、前者は生活習慣病罹患の頻度が高い。上半身肥満と下半身肥満の区別はウエストとヒップの比(W/H)で表わされ、男子1.0以上、女子0.8以上を上半身肥満と判定する。また肥満の判定に成長曲線を利用する場合もある。身長および体重を年齢ごとに記録したものを成長曲線とよぶ。日本では、身長と体重を0歳から18歳までの平均値およびISD(標準偏差)、±2SDの計5本の線で表示されている。その成長曲線から体重の異常な増加や、やせを早期に見い出して対応が開始できる。
 メタボリックシンドロームは内臓脂肪の過剰な蓄積(内臓脂肪型肥満)を中心の病態として、心筋梗塞や脳卒中に代表される動脈硬化性病変の高リスク群として注目されている。メタボリックシンドロームは予防医学上の疾患単位であり、リスクの高い人を早目にスクリーニングしておこうという概念である。内臓脂肪とは胃腸で吸収された栄養が肝臓に流れ込む道筋、すなわち門脈の環流域に分布する脂肪組織のことで、大網脂肪や腸間膜脂肪などの総称である。2005年の日本内科学会での診断ガイドラインでは、腹囲(臍(さい)周囲長)男性≧85センチメートル、女性≧90センチメートルに加えて
(1)血清脂質:中性脂肪≧150ミリグラム/デシリットルかつまたは低HDLコレステロール<40ミリグラム/デシリットル
(2)血圧の上昇:収縮期血圧≧130mmHgかつまたは拡張期血圧≧85mmHg
(3)空腹時血糖≧110ミリグラム/デシリットル
の3項目のうち2項目以上が該当する場合、としている。
 内臓脂肪の面積は臍レベルのCT断層写真によって測定し、内臓脂肪面積(V)が成人では100平方センチメートルか、またはVと皮下脂肪面積(S)の比であるV/S比が0.4を越える場合を内臓脂肪蓄積型と定義されている。小児では身体のサイズが異なるので成人と比較することは困難であり、この診断基準は設定されていないが内臓脂肪面積の60平方センチメートル、腹囲80センチメートル、V/S比0.276が求められている。小児においても内臓脂肪型肥満はメタボリックシンドロームの引き金となり健康障害につながるため、診断と管理が重要である。小児のメタボリックシンドロームの診断基準として、2006年に暫定案が示された。
(1)腹囲:小学生75センチメートル以上、中学生80センチメートル以上もしくは腹囲センチメートル÷身長センチメートル=0.5以上
(2)血清脂質:中性脂肪120ミリグラム/デシリットル以上またはHDLコレステロール40ミリグラム/デシリットル未満
(3)血圧:収縮期血圧125mmHg以上または拡張期血圧70mmHg以上
(4)空腹時血糖100ミリグラム/デシリットル以上
とし、このなかで(1)があって(2)~(4)のうち2項目を有する場合をメタボリックシンドロームと診断する。小児の肥満症治療が必要となる医学的問題として、(1)高血圧(2)睡眠時無呼吸などの肺換気障害(3)2型糖尿病、耐糖能障害(4)腹囲増加または臍部CTで内臓脂肪蓄積、などがあげられる。[井上義朗]
 肥満の原因の95%くらいまでは過食であって、単純性肥満という。食欲を抑制するレプチンleptinの異常でもおこる。脳腫瘍(しゅよう)、脳外傷、クッシング症候群、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症などの基礎疾患によるものは比較的少ない。いずれにしても、体の消費エネルギーを超えてエネルギー摂取が行われると体の脂肪量は増加する。肥満には各種の合併症がおこりやすく、これが寿命を短くさせている。内科的には高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風、胆石、脂肪肝、狭心症、心筋梗塞(こうそく)、肺換気不良などが代表的で、外科では手術時出血、麻酔操作の不良、変形性関節症、変形性脊椎(せきつい)症などが多い。そのほか、不妊症、月経不順、子宮体部癌(がん)、皮疹(ひしん)などがある。
 肥満の治療の基本は、エネルギー摂取の制限である。まず食事療法が重要で、標準体重1キログラム当り25~30キロカロリーを与える。とくに糖質やアルコール類は控えめにすることがたいせつである。脂肪量は摂取エネルギーの25~30%でよく、植物油と動物性脂肪の比率はだいたい2対1くらいがよい。そのうえにペクチンやセルロースなどの繊維を増やすことが望まれている。食行動についての注意もたいせつで、ゆっくり食べること、食事の回数を減らさないこと、互いに牽制(けんせい)しあって減量するよう努力することも必要である。重症の場合には、腸バイパス術や胃手術などが行われる。できるだけ体を動かしてエネルギー消費を増すことも重要である。[中村治雄]
『日本肥満学会編『小児の肥満症マニュアル』(2004・医歯薬出版) ▽月刊「食生活」編集部編『やさしくわかる肥満&肥満症――栄養指導の実践に役立つ予防活動と治療』(2004・フットワーク出版) ▽武城英明編『症例から学ぶ肥満症治療――専門医が教える25のチェックポイント』(2006・診断と治療社) ▽日本肥満学会編『肥満症治療ガイドライン ダイジェスト版』(2007・協和企画)』

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