周辺の全部あるいは一部が断層によって囲まれた土地を(断層)地塊といい,いろいろな様式の地殻運動が起こる一つの単元となる。このような地塊のうち,一方が相対的に高く,他方へ傾き下がっている地形を傾動地塊という。この地塊内ではシーソーのような回転運動が起こったことになる。したがって,ここでは全体として非対称の地形や地質構造が形成されている。高くなった山地前方の断層崖を前面,緩傾斜して低下する斜面を背面とよぶ。背面の後方に次の断層崖があることも多い。こうした傾動地塊が隣接していれば,背面の後方側(山麓部)と隣の地塊前面の崖下との間に細長い低地が伴う場合があり,断層角盆地と呼ばれる。日本での代表例は濃尾傾動地塊であり(図),東方には猿投山地がみられるが,西方では濃尾平野に移行する。この平野では新生代後半の各時代の堆積物がいずれも西側へ厚さを増しながら低下してゆき,西縁は養老断層で切断されており,断層角盆地となっている。この地塊はさらに大きい単元として東方の赤石山地南部まで続き,糸魚川-静岡構造線の通る富士川の谷で終わるので,この全域を中部傾動地塊ということもある。類似の地形は比良-丹波山地,養老山地,六甲山地西部,能登半島基部の山地などにもみられる。このような傾動地塊は,正断層による地塊の回転的な運動によっても生ずるが,濃尾傾動地塊のように逆断層による地塊のつき上げによって形成されることが多い。
→断層地形
執筆者:岡田 篤正
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…断層で両側を限られた細長い隆起地塊が地塁(山地)で,少なくとも一方の側を限られた断層地塊(山地)の一種である。これがある方向に傾いていれば傾動地塊あるいは傾動山地とよばれる。幅や高さが数十m程度の小規模な地塁をとくに小地塁といい,新しい堆積物で構成される場合が多い。…
…このことは,これらの山地や盆地をつくっている地塊が全体として均等に隆起・沈降を行ったのではなく,垂直運動の量にこう配があったこと,つまりこの地塊が水平方向の軸のまわりに回転しつつ隆起・沈降したことを意味する。このような運動を傾動といい,傾動運動を行った地塊を傾動地塊という。断層でかこまれた地塊が沈降してできた盆地を断層盆地というが,この地塊が傾動している場合には特に,傾動盆地または断層角盆地という。…
※「傾動地塊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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