唐国村(読み)からくにむら

日本歴史地名大系 「唐国村」の解説

唐国村
からくにむら

[現在地名]和泉市唐国町

箕形みがた村の南に位置し、松尾まつお川が流れる。松尾谷の一村地名は、当地が古代氏族韓国連の本貫地であったことによると推定される。古代には和泉郡池田いけだ(和名抄)に属した。

〔中世〕

平安後期、池田郷春木はるき村に春木庄が立庄されると、当村もいつの頃か庄域に組込まれてその知行下に置かれ、「春木庄内唐国村」と称されるようになる。当村の初見は建長四年(一二五二)五月一一日の唐国村刀禰百姓等置文案(松尾寺文書)で、唐国村刀禰と百姓の間で在家役・人夫役の徴集などについての一一ヵ条の取決めがされている。庄園領主の代官や刀禰の下人らが非法を行う時は、刀禰はこれを制止すること、庄園領主大事の時は人夫・伝馬がかけられても仕方ないが、これ以外は食料を出して使うといえども度々であってはいけないなどのほか、刀禰の経営する田の田植時には牛耕のために三日、収穫時には一日の労力奉仕をすること、麦まきについても同様であること、刀禰屋敷に日中詰めて所用に当たることや宿直は以後中止することなどがその内容であった。また「一、於公事番田者、可番別一町二反結出也」「一、歳末番頭者白米七升黒米一升、其他在家者白米各三升」とあって、番頭制が行われていたことが知られる。この頃は唐国村刀禰職をめぐって安則と資保間で紛争中であったとみられ(→春木庄、こうした事情を反映して農民の要求を入れる形で取決めがなされたようである。

この取決めは後世まで両者間の規範とされたようであるが容易に守られはしなかった。正応年間(一二八八―九三)頃、春木庄百姓は刀禰の非法二一ヵ条をあげて訴えているが(「非法条々事書」松尾寺文書)、これは当村百姓の訴えであったとみられる。これには、(一)所当を二重に取立てる、(二)損田を百姓にいったんは与えながら取返す、(三)年貢米を量る升の内側をえぐる、(四)臨時課役が二年間で銭六〇余貫・米八〇余石にのぼる、(五)私事に百姓を人夫として使役するなどがあげられ、刀禰があらゆる機会をとらえて蓄財に励み、自己勢力拡大を図っていたことがうかがえる。


唐国村
からくにむら

[現在地名]虎姫町唐国・長田ながた旭町あさひまちかき

つき村・村の西に位置し北国街道沿いに集落を形成。西に高時たかとき川、東に田川が流れる。街道から分岐して東方三川みかわ村の玉泉ぎよくせん寺へ向かう道があり、宝暦三年(一七五三)銘の道標に「右元三大師近道 左木之本道」とみえる。地名は韓国連の氏人が分住したことによるという(東浅井郡志)。はなのとう日記(同書)文明八年(一四七六)一一月四日条に「からくに迎殿」とある。天正一三年(一五八五)閏八月二一日の山内一豊知行目録(山内文書)に「からくに」二一九石余とあり、長浜城主山内氏の所領に組込まれており、年欠の山内家奉行沙汰状(橋本文書)によれば「から国舟橋」の復興が「かいたうすち諸百姓中」に命ぜられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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