改訂新版 世界大百科事典 「国民栄養調査」の意味・わかりやすい解説
国民栄養調査 (こくみんえいようちょうさ)
栄養改善法(1952施行)の規定に基づいて,国民の健康状態,栄養素摂取の実態等を明らかにするために厚生省が毎年実施している指定統計の一つ。調査対象は,国民生活基礎調査により設定された地区から,無作為抽出する。その数は年度によって変動するが,約300地区,約5000世帯,約1万5000人である。およそ45年の歴史をもつ日本の国民栄養調査の実績は世界に類を見ないものである。63年までは年4回(5月,8月,11月,2月)実施されたが,64年以後は年1回となり,72年以後は毎年11月に実施されている。調査方法としては,身体状況調査(血圧,身長,体重,皮下脂肪厚の測定,血液検査,歩数調査,問診)については集団検診方式で医師,保健婦が測定し,栄養摂取状況調査については栄養士が戸別訪問して各世帯の食事担当者に面接,聞取りをし,食事内容の秤量,記入を指導する方法で実施される。調査結果は《国民栄養の現状》として市販もされている。
執筆者:豊川 裕之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報