保健婦(読み)ホケンフ(その他表記)public health nurse

デジタル大辞泉 「保健婦」の意味・読み・例文・類語

ほけん‐ふ【保健婦】

女性保健師旧称。→保健師

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精選版 日本国語大辞典 「保健婦」の意味・読み・例文・類語

ほけん‐ふ【保健婦】

  1. 〘 名詞 〙 女性保健師の旧称。
    1. [初出の実例]「幼稚園だか小学校だかで保健婦? ちがったかも知れん」(出典:安吾新日本地理(1951)〈坂口安吾〉道頓堀罷り通る)

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改訂新版 世界大百科事典 「保健婦」の意味・わかりやすい解説

保健婦 (ほけんふ)
public health nurse

保健婦助産婦看護婦法(1948)では〈厚生大臣免許を受けて保健婦の名称を用いて保健指導に従事することを業とする女子〉として,その業務,資格などが定められている。〈保健士〉の名称を用いて,保健指導に従事することを業とする男子については,保健婦に関する規定を準用することが法改正(1993)により加えられた。保健婦の資格を得るためには,看護婦の資格をもつ者,あるいは短大や看護婦学校等の看護婦養成機関を卒業した者が,保健婦学校で6ヵ月以上の課程を修了したのち,国家試験に合格しなければならない。

保健婦の名称は1937年の〈保健所法〉に初めて明記されているが,公衆衛生看護活動の始まりはそれ以前にさかのぼる。派出看護婦会による個人に雇用された派出看護婦業務(1891),東京賛育会による巡回産婆業務(1919),関東大震災の際に済生会病院が行った訪問看護事業(1923),聖路加国際病院における保健相談事業と家庭訪問指導(1925)などが行われていた。1942年には〈保健婦規則〉が制定され,これらの先達の活動は公的サービスとして保健婦に引き継がれていった。その背景には,第1次世界大戦後の日本経済の発展の陰に国民の生活の困窮化,健康状態の悪化が著しく,国としても国民の体位の低下,高い結核死亡率,乳幼児死亡率などに対処する必要に迫られたこと,栄養改善,疾病の早期発見・早期治療の原則による結核・伝染性疾患の克服が急務となっていたことがあげられる。

 第2次世界大戦後は,保健所の機構改革により,公衆衛生活動の第一線機関としての保健所や市町村役場を中心とした保健婦による母子,成人などの対人保健活動が行われてきた。

少子高齢社会に対応して保健婦は,地域ケアの充実,疾患の予防,福祉との連携,さらには病気や障害をもつ人の人権を擁護し,その自立や社会参加への支援を求められている。近年,市町村を中心とする保健医療福祉サービスの総合的な供給体制の整備,保健所の機能の質的向上など,地域保健活動の見直しが行われるときに,〈地域保健法〉(1994)の成立により,保健婦の需要は一層増大している。それに比して,全国の就業保健婦は3万3276人(1995年厚生省報告例)と少なく,活動の場は,その69%が保健所,市町村役場である。その他,学校や企業において児童生徒や従業員の健康管理を担う養護教諭や産業保健婦の活動やリハビリテーション施設や福祉施設にも活動の場が広がっている。

 保健所,市町村役場の保健婦は,乳幼児検診および予防接種,育児相談,未熟児の家庭訪問,妊婦への母親学級などの母子保健,精神保健相談,成人病・老人保健活動としての検診や健康相談,さらには健康教育など地域における幅広い活動を担っている。

近年,慢性疾患や難病,公害病などの疾病構造の変化,少子高齢化,核家族化などの社会情勢の変化に伴い,保健婦の地域保健活動への期待が高まっている。

 世界保健機構(WHO)が主張している〈2000年までに,すべての人々に健康を〉(アルマ・アタ宣言,1978年)を旗印としたプライマリー・ヘルス・ケアの考えや,障害をもつ人が障害を社会的な不利として感じることなく自分の生活を自分の力で確立することができるような社会サービスや生活条件を整えていく〈ノーマライゼーション〉の立場から,保健医療福祉システムの整備や包括的なアプローチが重視されてきている。とくに地域で暮らしながら医療の活用を必要とする在宅療養者が増加する中で,保健婦は患者の生活環境を整えるとともに,日常生活の援助を通して,病気や障害をもつ人とその家族のより健康な生活(QOL=〈生活の質〉)を支えるための保健医療福祉ネットワークの形成をめざしている。そのために保健婦は,地域住民や関係機関と協同し,専門医,看護婦助産婦,ソーシャル・ワーカー,ヘルパー,ボランティアなどとのチーム・アプローチを通して,それぞれの人に見合ったケアの必要性の判断と調整役としての役割を担うものである。

 〈保健師助産師看護師法〉が2002年3月施行され,〈保健婦〉および〈保健士〉の名称は〈保健師〉に改められた。
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百科事典マイペディア 「保健婦」の意味・わかりやすい解説

保健婦【ほけんふ】

保健所,市町村,事業所,病院,学校などに勤務し,保健指導や療養指導を行う女性。看護婦の有資格者が,文部科学大臣指定の学校で6ヵ月以上必要な学科を修めるか,厚生労働大臣指定の養成所を卒業したのち,国家試験に合格して資格を得る。身分・業務は保健婦助産婦看護婦法(1948年)に規定され,女子のみであった。68年に同法が改正されて男子も資格を取得できるようになったが,性別で保健婦/保健士と呼称が異なっていた。2002年同法は〈保健師助産師看護師法〉と改称され,保健婦(士)は保健師に改められた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「保健婦」の意味・わかりやすい解説

保健婦
ほけんふ

「保健婦助産婦看護婦法」(昭和23年法律第203号)により、保健指導に従事することを業とする女性の資格の名称とされていたが、「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」(平成13年法律第153号)により、2002年(平成14)3月以降、男女統一の「保健師」に改められた。

[山根信子・編集部]

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栄養・生化学辞典 「保健婦」の解説

保健婦

 法律では,「厚生大臣の免許を受けて保健婦の名称を用いて保健指導に従事することを業とする女子」とされていた.2002年3月改正法が施行され,保健師となった.また「女子」は「者」となった.⇒看護婦

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「保健婦」の意味・わかりやすい解説

保健婦
ほけんふ

保健師」のページをご覧ください。

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