国見峠(読み)くにみとうげ

日本歴史地名大系 「国見峠」の解説

国見峠
くにみとうげ

秋田街道が奥羽山脈を越える峠で、雫石町と秋田県仙北せんぼく田沢湖たざわこ町の境に位置する。現在は峠の南五〇〇メートルに国道四六号の仙岩せんがんトンネルが通る。秋田藩領との藩境にあたり、東麓の橋場はしば村に境目番所が置かれた。秋田藩久保田くぼた城下(現秋田市)への最短通路であったが、随所難所があり冬は通行が途絶えた。正保国絵図に国見峠とみえ妻神さいのかみ境塚が描かれる。「橋場村より妻神境迄三里壱丁廿八間、此間大難所、雪中牛馬不通、此所ヨリ秋田領小保内迄三里」とある。寛永一〇年(一六三三)幕府巡見使の見分により、盛岡藩と秋田藩の藩境が定められ、境塚が築かれたという(雫石町史)。秋田藩領から欠落罪人を当峠で引渡し(「雑書」延宝二年一月一三日・一七日・二〇日条など)、罪人を領外へ追放した(寛文一一年三月二七日条)


国見峠
くにみとうげ

生保内おぼない街道が奥羽山脈を越える峠で、田沢湖町と岩手県岩手郡雫石しずくいし町の境に位置する。明治初年に道筋が変更され、現在は峠の南五〇〇メートルに国道四六号の仙岩せんがんトンネルが開通している。

正保四年(一六四七)出羽一国絵図に国見峠が記される。宝暦年間(一七五一―六四)の御国目付御用取調帳(秋田県庁蔵)に境口の一つとして「同国(出羽)奥州境形国見峠当領生保内村より南部領橋場村ニ出ル」とあり、近世には南部領と通じていた。


国見峠
くにみとうげ

椎葉村と西臼杵郡町を結ぶ国道二六五号の峠。西は木浦きうら(一四四一メートル)から東は遠く大仁田おおにた(一三一五・六メートル)に連なる尾根筋を越える峠で、峠の標高は約一一三〇メートルに達する。下福良しもふくらから耳川の支流十根とね川の谷をさかのぼり、五ヶ瀬川源流の谷を経て五ヶ瀬町鞍岡くらおかに至る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の国見峠の言及

【駒ヶ岳】より

…西麓は田沢湖高原と呼ばれスキー場や国民休暇村があり,近年観光客が多い。南北に続く稜線は,岩手,秋田の県境をなし,南側には古くからの東西交通路の要所で国道46号線が通じる国見峠がある。【水野 裕】。…

※「国見峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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