世界各国の首脳が地球温暖化対策について話し合う国際連合の会議。日本では「国連気候変動首脳会合」ともよばれる。国連事務総長の潘基文(ばんきぶん/バンキムン)の強い呼びかけで、2009年9月と2014年9月の過去2回、国連本部のあるアメリカのニューヨークで開催された。先進国と新興国の対立で難航する地球温暖化対策の国際交渉を、首脳級会議で一気に妥結に向けて加速させるねらいがある。通常、国連の首脳級会議は幅広いテーマを扱うが、温暖化対策のみを議論する国連気候変動サミットには、地球温暖化が人類共通の切迫した問題であるとの危機意識が込められている。
2009年の第1回会合には、約100か国・地域の首脳級が参加。温暖化ガスの2大排出国であり、それまで温暖化対策に消極的であったアメリカの大統領オバマと中国の国家主席(当時)胡錦濤(こきんとう)が出席し、温暖化対策に積極的にかかわる姿勢を示した。日本の内閣総理大臣(当時)鳩山由紀夫(はとやまゆきお)は、2020年までに温暖化ガスを1990年(平成2)に比べて25%減らすと明言。各国政府や環境団体などから称賛を浴びたが、日本の産業界などからは非現実的だと批判された。2014年の第2回会合では、約120か国・地域の首脳級が参加。2020年に約束期間が終了する京都議定書以降の温暖化対策の枠組みについて協議した。アメリカと中国は2020年以降の新たな枠組みづくりに積極的に関与する姿勢を示し、とくに中国の副首相張高麗(ちょうこうれい)は中国政府として初めて総量規制に踏み込む考えを示唆した。一方、日本の内閣総理大臣安倍晋三(あべしんぞう)は、温暖化対策で途上国を支援する意向を表明したが、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、原子力発電や再生可能エネルギーの比率を決められないことから、温暖化ガスの明確な削減目標を打ち出せなかった。
[矢野 武 2015年7月21日]
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