1990年より実施されている温度目盛。略称はITS-90。量としての温度に熱力学温度(絶対温度と同じ)を採用し、その単位にはケルビン(記号:K)を使用する国際単位系(SI)においては、熱力学温度そのものを実際にはかることは簡単ではない。そこで、事実上の熱力学温度と一致し、測定しやすい温度目盛を構築する方法が考案されている。ここでは、ある領域の温度を測定する方法とそれを校正するための17の定義定点が設定されている。1990年より前は、熱力学温度に近似させた目盛として国際実用温度目盛(International Practical Temperature Scale)が採用されていたが、1990年には、いっそう熱力学温度に近い目盛が構築できるようになり、「実用」を省いた温度目盛として設定されている。
ITS-90の各温度領域における定義と測定方法の概略は、次のとおりである。
(1)0.65Kから5.0Kまでの領域:
ヘリウム(3Hおよび4H)を用いた蒸気圧温度計によって定義されている(3Hに関しては0.65K~3.2Kの間、4Hに関しては1.25K~2.1768Kの間)。
(2)3.0Kから24.5561Kまでの領域:
3点の温度で校正した定積型気体温度計によって定義されている。三つの校正点の温度は、上記(1)の定義で求められた3.0Kから5.0Kの間の1点と、熱平衡状態にある水素の三重点(13.8033K)、およびネオンの三重点(24.5561K)であり、3H、4Hのそれぞれに対する補間式が与えられている。
(3)13.8033Kから1234.93K(961.78℃)までの領域:
いくつかの定義定点の組合せで校正した白金抵抗温度計と、定められた補間式によって定義される。このうち、273.16K以下には低温用白金抵抗温度計(カプセル型)が、また、273.15K以上には標準用および高温用白金抵抗温度計(ステム型)が用いられる。
(4)961.78℃以上の領域:
プランクの放射則によって定義され、定義定点としては、銀の凝固点(961.78℃)、金の凝固点(1064.18℃)、あるいは銅の凝固点(1084.62℃)のいずれか一つが採用される。
[今井秀孝]
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