国際単位系(読み)コクサイタンイケイ(その他表記)international system of units

デジタル大辞泉 「国際単位系」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐たんいけい〔‐タンヰケイ〕【国際単位系】

各種の単位系に分かれたメートル法の単位を整理し、基本単位組み立て単位、およびこれらの倍数・分数の単位を一つにまとめた単位系。1960年の国際度量衡総会で採択。メートル長さ)・キログラム質量)・時間)・アンペア電流)・ケルビン温度)・カンデラ光度)・モル物質量)の七つを基本単位にとる。日本では平成4年(1992)以降、3~7年の猶予期間を経て順次施行。SI(Système International d'Unités)。SI単位系。
[補説]SI接頭語(SI単位の10の倍量・分量を表す接頭辞
SI接頭語記号乗数
クエタ(quetta)Q1030
ロナ(ronna)R1027
ヨタ(yotta)Y1024
ゼタ(zetta)Z1021
エクサ(exa)E1018
ペタ(peta)P1015
テラ(tera)T1012
ギガ(giga)G109
メガ(mega)M106
キロ(kilo)k103
ヘクト(hecto)h102
デカ(deca)da10
デシ(déci)d10-1
センチ(centi)c10-2
ミリ(milli)m10-3
マイクロ(micro)μ10-6
ナノ(nano/nanno)n10-9
ピコ(pico)p10-12
フェムト(femto)f10-15
アト(atto)a10-18
ゼプト(zepto)z10-21
ヨクト(yocto)y10-24
ロント(ronto)r10-27
クエクト(quecto)q10-30

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精選版 日本国語大辞典 「国際単位系」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐たんいけい‥タンヰケイ【国際単位系】

  1. 〘 名詞 〙 メートル法による計量単位の国際的統一を目的とする単位系。一九六〇年の第一一回国際度量衡総会で決定。基本単位として長さにメートル(m)、質量にキログラム(kg)、時間に秒(s)、電流にアンペア(A)など。

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改訂新版 世界大百科事典 「国際単位系」の意味・わかりやすい解説

国際単位系 (こくさいたんいけい)
international system of units

メートル条約の全締約国が採用することのできる単一の実用的な計量単位系として1960年に採用された単位系。その国際的な略称をSIといい,フランス語système international d'unitésの略である。

メートル法は日常の度量衡単位として制定された単位系であるが,1832年に地磁気の測定に応用されて以来,89年の国際度量衡局による標準供給の開始とあいまって,その合理性から広く科学,技術に普及し,同時に適用領域ごとにつごうのよい単位が作られ,さまざまな単位系に分化していくが,19世紀に盛んになった電磁気の分野でも新しく単位や標準を作る必要があった。その要求にこたえて作られたのがCGS単位系である。この単位系は三元系であるため力学領域にはつごうがよいが,電磁気量に対しては静電単位系や電磁単位系などの別が生じ,しかも単位の大きさが実用的ではない。そこで,CGS電磁単位系(CGS emu)の起電力と電気抵抗の単位をそれぞれ109倍,108倍してボルトとオームという単位を作り,これを基に電気の実用単位系が構成された。しかし,こんどはこの単位系の内蔵する長さと質量の基本単位が実用的な大きさにならず,力学の単位系と電磁気の単位系を統一することができなかった。1901年,ジョルジGiovanni Giorgiは長さ,質量,時間の単位をそれぞれメートル,キログラム,秒とし,これに電気の実用単位系中の一つの単位を加えた四つの独立な単位からなる単位系を作れば,力学的にも電磁気的にも実用的な大きさの基本単位からなる単位系ができることを示した。この単位系をMKS単位系という。35年に独立な電気の単位として電流の単位アンペアを採用すれば電磁気の単位の次元が整数になることが示された。これがMKSA単位系である。このMKSA単位系に熱力学温度のケルビン度と光度のカンデラを加えて熱力学や測光学の分野まで体系化した単位系が国際単位系である。この単位系は60年の国際度量衡総会で採用されたが,さらに化学領域への適用のため物質量の単位モルが加えられた。ただし熱力学温度の単位の名称は67年にケルビン度からケルビンに変更されている。

 現行の国際単位系は以上のような経過で作られ,まだ完成したものではないが,その適用領域は広く,メートル法の現代型と呼ばれ,この単位系の採用による計量単位の統一が英語圏諸国も含む世界各国で推進されている。

国際単位系の構成は次のとおりである。まず互いに独立な概念であると取り決めた七つの物理量,すなわち長さ,質量,時間,電流,熱力学温度,物質量および光度を選び,それぞれの単位の名称と記号を与え,大きさを定義する。これらの単位は単位系を構成する基礎として基本単位(基礎単位)と呼び,対応する物質量を基本量(基礎量)という。国際単位系の基本単位(SI基本単位)を表1に示す。大きさの定義は単位名の項目を参照。

 基本量でない物理量は組立量(誘導量)と呼ばれ,定義式や経験式など物理量の間に成り立つ関係式を用いて基本量,またはすでにある組立量から導き出される。組立量の単位を組立単位(誘導単位)といい,対応する物理量の間の関係式にならって基本単位,またはすでにある組立単位から形成される。国際単位系では,組立単位の形成に際して数係数を用いない。すなわち,基本量AB,……,Pと組立量Qが,nを数係数として,QnAαBβ……Pπの関係にあるとし,量QAB,……,Pの単位がそれぞれq,a,b,……,pのとき,数値がそれぞれQ1A1B1,……,P1とすれば,国際単位系の単位の場合,数値に関しては,Q1nA1αB1β・……・P1πが成り立ち,単位に関しては,q=aα・bβ・……・pπが成り立つ。つまり単位は,数係数m≠1として,q=m・aα・bβ・……・pπのようにはならない。したがって国際単位系の組立単位の大きさは,それを導いてきた物理関係式によらず,一つの量に対しては一つに定まる。ただし,単位の名称は導いてきた関係式により複数個ありうる。

 一つの単位系の中の単位は,対応する物理量の概念の独立性の観点から,基本単位であるか組立単位であるかのどちらかであると考えられるが,空間の幾何学的な量である角度(平面角)と立体角の単位についてはどちらに属するかについて議論があり,1960年の国際度量衡総会はこれらを一括して補助単位とした。補助単位の名称と記号を表2に示す。

 組立単位のうちのいくつかには,使用上の便宜を考慮し,〈特別の名称と記号〉が付与されている。その特別の名称と記号は単独で用いてもよいし,他の組立単位を形成するのに順次他の単位と組み合わせて用いてもよい。特別の名称と記号を有する単位を表3に示す。

 屈折率,相対透磁率,相対誘電率のようないくつかの量は,いわゆる無次元の量であって,数そのもので表される。このような量の単位は,国際単位系では数の1で表されることがある。

 組立単位を作る際に数係数をまったく用いないような単位系を〈一貫性のある単位系〉という。国際単位系の基本単位,補助単位および組立単位は一貫性のある単位系を形成している。これらの単位を〈SI単位〉という。この命名はその倍量単位分量単位と区別するためのものである。

 単位の大きさの調節はSI単位の十進法による倍量単位,分量単位を用いて行う。その倍量単位,分量単位の名称と記号は,その十進法の因数に対応するSI接頭語をそのSI単位につけ加えることによって形成される。ただし質量の単位では,基本単位の名称キログラムに歴史的な理由からすでに接頭語キロがついており,その倍量単位,分量単位の名称は,接頭語が重ならないよう,適切な接頭語をグラムという名称につけることによって形成される。SI接頭語を表4に示す。

 以上より,国際単位系の特徴は一貫性のあるSI単位とその十進法による倍量単位,分量単位とからなる点にあり,固有の物理公式を用いて有理化された形で用いられる。

国際単位系には表記法に関する規則があり,そのおもなものは次のとおりである。(1)単位記号は原則として立体の小文字で印刷される。固有名詞に由来する単位の記号は最初の文字を立体の大文字とする(例,A,Pa)。(2)記号は単複同型で,終止符号をつけない。(3)二つ以上の単位の積は次のいずれかの形式で表す(例,N・m,N.m,またはNm)。(4)一つの単位を他の単位で除して作られた場合は,斜めの線,平らな線,または負のべきによる。()。なお,この場合,単位の日本語の名称は除するほうの単位の前に〈毎〉をつけて羅列する。(5)斜めの線を1行の中に2本以上用いない(例,m/s2かm・s⁻2とし,m/s/sとはしない)。複雑な場合はかっこを用い,m・kg/(s3・A)かm・kg・s⁻3・A⁻1とし,m・kg/s3/Aとはしない。(6)接頭語の記号と単位の記号は密接させる。(7)接頭語を組み合わせて用いない(例,10⁻6kgは1μkgではなく,1mgとする)。(8)接頭語は単独で用いない(例,106/m3を1M/m3としてはならない)。(9)SI単位の倍量単位,分量単位に指数の付された記号はその倍量単位,分量単位全体のべき乗を意味する(例,1cm3=(10⁻2m)3=10⁻6m3,1μs⁻1=(10⁻6s)⁻1=106s⁻1)。

1969年の国際度量衡委員会は,次の八つの単位を国際単位系の単位と併用してよい単位とした。ただしSI単位の一貫性を損なわない範囲に限られる。時間の分,時,日,角度の度,分,秒,リットルおよびトン。

 また専門領域で有用で,SI単位で表すと実験値になり,正確な値にならない次の単位も国際単位系の単位と併用してよい。電子ボルト原子質量単位天文単位パーセク
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百科事典マイペディア 「国際単位系」の意味・わかりやすい解説

国際単位系【こくさいたんいけい】

メートル条約の全締約国が採用することができる単一の計量単位系として,1960年の国際度量衡総会で採用された単位系。略称SI。基本単位として長さにメートル,質量にキログラム,時間に秒,電流にアンペア,温度にケルビン,光度にカンデラをとり,1971年に物質量の単位としてモルが追加された。別に補助単位として平面角にラジアン,立体角にステラジアンを設け,10(n/)倍の単位を表す16の接頭語を定めている。組立単位として面積,速度,力,電荷,光束などの単位と,固有の名称をもつ組立単位がある。日本の計量法もこれに基づく。
→関連項目アンペアウェーバー(単位)エネルギーMKS単位系オーム(単位)温度目盛基本単位計量法国際単位次元(物理)CGS単位系ジュール(単位)絶対単位系センチ単位デカデシテラ電磁単位系ナノピコヘクトマイクロミクロンミリメガメートル法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際単位系」の意味・わかりやすい解説

国際単位系
こくさいたんいけい

1960年の国際度量衡総会で決議された単位系。すべての時代に、すべての人々が、ただ一つの単位系で、というスローガンでつくられたメートル法も、度量衡以外の科学や工業用の諸量の単位を追加してゆく過程で、いくつかの単位系に分かれてしまった。そこでこれらを再統一しようという目的で制定された。度量衡はフランス語を公用語とする、という慣行に従ってSystème International d'Unitésとよばれ、国際統一略称をSIとすることも決議された。そこでSIに属する単位をSI単位という()。

 決議当時は6個の基本単位(長さのメートルm、質量のキログラムkg、時間の秒s、電流のアンペアA、熱力学温度のケルビン度、光度のカンデラcd)をとり、これらを代数的に組み合わせることによって諸物理量の単位(組立単位)をつくった。別に二つの補助単位(平面角のラジアンrad、立体角のステラジアンsr)を設けるが、1995年に、これら二つの補助単位は無次元の組立単位とみなすこととなった。

 単位の倍量、分量はすべて十進法とし、各単位に共通の10の整数乗倍を表す12個の接頭語を設けた(現在は20個)。単位および接頭語には記号が定められる。

 この単位系の特徴は、まず各単位は基本単位から同じ原則によって組立単位として導かれる首尾一貫した系をなすということである。次に、一つの物理量に対して、ただ一つの単位が対応するということ。そしてすべて十進法で一貫していることである。しかし一挙にこの単位系で国際統一を行うことは困難なので、国際度量衡委員会は、SI単位以外のいくつかについて、併用できるもの、特殊な分野に限って併用するもの、および暫定的に併用できるものを具体的にあげている。併用するものの例に六十進法の時間と角度の単位がある。重力単位系はただちに廃止することになっているが、これは各国とも工学に用いているものであるため、統一上の問題はほとんどここに集中される。

 2012年時点で、基本単位は物質量の単位モルmolが追加されて7個になり、熱力学温度のケルビン度()はケルビン(K)と改められている。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]


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化学辞典 第2版 「国際単位系」の解説

国際単位系
コクサイタンイケイ
International System of Units

国際的に定められた単位系.略称SI.1960年,国際度量衡総会(Conférence Générale des Poids et Mesures)で採択し,その後一部が修正されたが,国際純正および応用化学連合(IUPAC)でも,1969年にこれを採択し,この単位系の一般的使用を勧告している.この単位系は kg,m,s,A,K,mol およびカンデラ(cd)の七つを基本単位とし,1種類の物理化学量につき1種類の単位を用いる.これらの基本単位の積または商から導かれる多数の誘導単位がある.また,上記の七つの基本単位のほかに,角度に関するラジアン(rad)とステラジアン(sr)を補助単位としてとっている.これらの諸単位の10のべき数を表す接頭語16を定めている.

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知恵蔵 「国際単位系」の解説

国際単位系

メートル法の単位を基に、現代の科学技術及び一般の社会活動の諸分野で共通に使用できるよう編成された、実用的な単位系。1960年の国際度量衡総会(CGPM)で、「国際単位系」の名称と略称SIが採択された。同次元の量ごとにただ1つのSI単位を置き、各SI単位相互間は数値係数なしの代数式(乗算と除算の組み合わせ)で結ばれる。このSI単位を実用上便利に使うため、必要に応じてキロ(k)、ミリ(m)などの接頭語を付し、10の整数乗倍の単位を作ることができる。基本文書は、国際度量衡局(BIPM)から発行されている。最新版は2006年5月発行の第8版(日本語版は日本規格協会から07年12月に産業技術総合研究所・計量標準総合センター訳編として発行)。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際単位系」の意味・わかりやすい解説

国際単位系
こくさいたんいけい

「SI」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の国際単位系の言及

【単位】より

…それらの大部分はメートル法の理念に沿うものであったから,拒否の対象とすることはできないが,一面,単位系の多様化は避けられなければならない。この矛盾は,1930年代からの検討の末に,60年の国際度量衡総会でひとまず解決され,国際単位系(SI)が成立した。国際単位系は,選ばれた七つの基本的な量(基本量)(長さ,質量,時間,電流,熱力学温度,物質量,光度)にそれぞれ対応させて基本単位(メートル,キログラム,秒,アンペア,ケルビン,モル,カンデラ)を定め,また,二つの補助的な量(平面角,立体角)に対応させて補助単位(ラジアン,ステラジアン)を定め,他の量については,物理学上の定義や法則を表す関係式の仲介のもとに〈組立量〉を考え,煩雑な係数などは用いないで簡明に〈組立単位〉を定めている。…

※「国際単位系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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