土肥春曙(読み)ドイ シュンショ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「土肥春曙」の解説

土肥 春曙
ドイ シュンショ


職業
俳優

本名
土肥 庸元(ドイ ツネモト)

生年月日
明治2年 10月6日

出生地
肥後国別所村(熊本県 熊本市)

学歴
東京専門学校(早稲田大学)文科

経歴
在学中から坪内逍遙師事。読売新聞社、東京専門学校などにつとめたのち、明治34年川上音二郎一座の通訳兼文芸部員として渡欧。38年より逍遙のもとで脚本朗読研究(易風会)を始め、39年文芸協会が設立されると演劇主任となり、附属演劇研究所で教える傍ら舞台にもたち、「ベニス商人」「ハムレット」などで中心的俳優として活躍。文芸協会解散後、大正3年東儀鉄笛らと無名会を結成。近代劇の移植に尽力したが、病のため引退した。著書に「新訳社会劇」や「ヘッダ・ガブラー」の翻案戯曲「鏑木秀子」がある。

没年月日
大正4年 3月2日 (1915年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「土肥春曙」の意味・わかりやすい解説

土肥春曙 (どいしゅんしょ)
生没年:1869-1915(明治2-大正4)

新劇俳優。熊本県生れ。本名庸元(つねもと)。東京専門学校(のちの早大)文学科卒業後,読売新聞記者となる。1901年川上音二郎一座渡欧の際通訳として同行。05年坪内逍遥のもとで朗読研究会〈易風(えきふう)会〉を組織,初舞台をふんだ。06年文芸協会が設立されると演技主任として《ハムレット》に主演したほか,後期文芸協会では後進の演技指導にあたり,H.イプセンの《人形の家》,H.ズーダーマンの《故郷》などに出演,協会の幹部俳優として初期新劇界に活躍した。協会解散後は14年東儀鉄笛とうぎてつてき)らと〈無名会〉を組織し中心俳優となった。イプセンの《ヘッダ・ガブラー》を翻案した《鏑木(かぶらぎ)秀子》(1910)の著作もある。
執筆者:

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20世紀日本人名事典 「土肥春曙」の解説

土肥 春曙
ドイ シュンショ

明治期の俳優



生年
明治2年10月6日(1869年)

没年
大正4(1915)年3月2日

出生地
肥後国別所村(熊本県熊本市)

本名
土肥 庸元(ドイ ツネモト)

学歴〔年〕
東京専門学校(現・早稲田大学)文科卒

経歴
在学中から坪内逍遙に師事。読売新聞社、東京専門学校などにつとめたのち、明治34年川上音二郎一座の通訳兼文芸部員として渡欧。38年より逍遙のもとで脚本朗読研究(易風会)を始め、39年文芸協会が設立されると演劇主任となり、附属演劇研究所で教える傍ら舞台にもたち、「ベニスの商人」「ハムレット」などで中心的俳優として活躍。文芸協会解散後、大正3年東儀鉄笛らと無名会を結成。近代劇の移植に尽力したが、病のため引退した。著書に「新訳社会劇」や「ヘッダ・ガブラー」の翻案戯曲「鏑木秀子」がある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「土肥春曙」の解説

土肥春曙

没年:大正4.3.2(1915)
生年:明治2.10.6(1869.11.9)
明治大正期の新劇俳優。肥後国(熊本県)生まれ。本名庸元。書家・直康とカジュの子。東京専門学校(早大)文科卒。在学中坪内逍遥が始めた朗読研究会に参加。中央新聞入社後劇評を担当。明治34(1901)年の川上音二郎一座ヨーロッパ巡演に同行した。36年川上のために『ヴェニスの商人』を抄訳。文芸協会発足(1906)後は付属演劇研究所で教えるかたわら舞台にも立ち,逍遥作品の秀頼,重成,シェークスピアのポーシャ,ハムレットなどを演じ「妙なる音楽」にたとえられた台詞まわしで絶賛される。協会解散(1913)後東儀鉄笛と無名会をおこすが,「霊験」の飛雲上人を最後に病のため引退した。著書に「ヘッダ・ガブラー」の翻案戯曲『鏑木秀子』がある。<参考文献>北見治一『鉄笛と春曙』

(井上理恵)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土肥春曙」の意味・わかりやすい解説

土肥春曙
どひしゅんしょ

[生]明治2(1869).10.6. 熊本
[没]1915.3.2. 東京
俳優。本名庸元 (つねもと) 。 1890年東京専門学校 (現早稲田大学) 文科の第1期生として入学。卒業後,新聞記者,母校の講師を経て,1901年川上音二郎一座の通訳兼文芸部員として渡欧。 05年坪内逍遙の脚本朗読会に加わって易風会を興し,翌 06年文芸協会が設立されると技芸監督,中心俳優として活躍。端麗な容姿と凛とした調子で新劇の二枚目,立役の第一人者といわれた。当り役はハムレット。第2次文芸協会の解散 (1913.7.) 後,「無名会」を興した (14.1.) が,旗揚げの1年後に病没。『新訳社会劇』『鏑木秀子』などの著がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「土肥春曙」の解説

土肥春曙 どひ-しゅんしょ

1869-1915 明治-大正時代の舞台俳優。
明治2年10月6日生まれ。土肥樵石(しょうせき)の長男。東京専門学校(現早大)で坪内逍遥(しょうよう)に師事。明治34年川上音二郎一座のヨーロッパ巡業に同行。逍遥主宰の文芸協会で「ハムレット」ほかに主演。協会解散後の大正3年東儀鉄笛(とうぎ-てってき)らと無名会を結成した。大正4年3月2日死去。47歳。肥後(熊本県)出身。本名は庸元(つねもと)。著作に翻案戯曲「鏑木(かぶらぎ)秀子」など。

土肥春曙 どい-しゅんしょ

どひ-しゅんしょ

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「土肥春曙」の意味・わかりやすい解説

土肥春曙
どいしゅんしょ
(1869―1915)

俳優。本名庸元(つねもと)。熊本に生まれる。東京専門学校(現早稲田(わせだ)大学)を卒業後、しばらくの間新聞記者を勤め、1901年(明治34)には川上音二郎一座の欧州巡業に随行。帰国後、朗読法研究会、易風会(えきふうかい)での活動を経て、06年文芸協会の演劇主任となって数々の大役を演じたが、とくに彼のハムレットは、その近代的演技が注目された。文芸協会解散後は東儀鉄笛(とうぎてってき)とともに無名会を組織した。

[松本伸子]

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367日誕生日大事典 「土肥春曙」の解説

土肥 春曙 (どい しゅんしょ)

生年月日:1869年10月6日
明治時代の俳優
1915年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の土肥春曙の言及

【ハムレット】より

…逍遥訳初版は,もっぱら実演に便宜なように企図したため,訳詞が歌舞伎式,七五調となったと彼自身述懐している。上演面では,土肥春曙と山岸荷葉が明治の華族のお家騒動物に翻案したものを川上音二郎の一座が1903年東京本郷座で上演,葉村年丸(原作のハムレット)を藤沢浅二郎が,おりえ(オフィーリア)を川上貞奴が演じた。原作に忠実な上演は文芸協会設立(1906)以降で,1911年には逍遥訳・演出(配役,ハムレット=土肥春曙,オフィーリア=松井須磨子)により上演された。…

※「土肥春曙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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