土芳(読み)どほう

精選版 日本国語大辞典 「土芳」の意味・読み・例文・類語

どほうドハウ【土芳】

  1. はっとりどほう(服部土芳)

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改訂新版 世界大百科事典 「土芳」の意味・わかりやすい解説

土芳 (どほう)
生没年:1657-1730(明暦3-享保15)

江戸前・中期の俳人。姓は服部通称は半左衛門保英(やすひで)。初号は芦馬(ろば)。伊賀の人。木津孫次良保阿の五男で,服部家の養嗣子となり,伊賀藤堂藩に仕える。1665年(寛文5),9歳のとき芭蕉から俳諧の手ほどきを受けたという。85年(貞享2),20年ぶりに芭蕉に会い,再び俳諧に関心を抱き,3年後官を辞した。芭蕉から贈られた〈みのむしの音を聞きに来よ草の庵〉の面壁達磨(だるま)画賛にちなんで蓑虫庵(みのむしあん)(のちに些中庵(さちゆうあん)とも)と名づけた庵に住し,土芳と改号,俳諧に専念し,伊賀蕉門の中心人物となった。1702年(元禄15),芭蕉の遺語を主とした蕉風の俳論書《三冊子(さんぞうし)》を著し,09年(宝永6)には,《蕉翁句集》《蕉翁文集》《おくのほそ道》の,いわゆる〈三部書〉を書写し,芭蕉の霊前に供えた。とりわけ《蕉翁句集》は,その作年次を推定した最初の芭蕉句集といえ,研究史的にも貴重である。また,句日記《庵日記》と俳交の記録《横日記》を書きつづけ,現在,その一部分が伝存している。生涯独身を通した。〈棹鹿(さおしか)のかさなり臥せる枯野かな〉(《猿蓑》)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「土芳」の意味・わかりやすい解説

土芳(とほう)
とほう
(1657―1730)

江戸前期の俳人。服部(はっとり)氏。通称半左衛門。名は保英(やすひで)。初号蘆馬(ろば)。伊賀上野の人。藤堂藩藩士。木津孫次良保向(やすむき)の五男で、服部家の養子となる。松尾芭蕉(ばしょう)の感化により、1685年(貞享2)ごろ致仕し、以後は蓑虫庵(みのむしあん)にこもって俳諧(はいかい)に専念し、生涯を独身で過ごした。伊賀における蕉門の中心人物として多くの人々を統率し、とりわけ91年(元禄4)の『猿蓑(さるみの)』刊行に際しては、29名もの多数の伊賀俳人の作を入集(にっしゅう)せしめた。土芳の最大の功績は芭蕉の聞書(ききがき)『三冊子(さんぞうし)』を書き残したことで、ここには芭蕉の俳論が整然と記されている。ほかに芭蕉の『蕉翁(しょうおう)句集』『蕉翁文集』『奥の細道』の三部作の完成も重要なものである。編著『庵日記(いおにっき)』『横日記』など。

[雲英末雄]

 おもしろう松笠(まつかさ)もえよ薄月夜

『富山奏著『伊賀蕉門の研究と資料』(1970・風間書房)』



土芳(どほう)
どほう

土芳

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百科事典マイペディア 「土芳」の意味・わかりやすい解説

土芳【どほう】

江戸中期の俳諧師。木津氏に生まれ,伊賀上野の藤堂藩士服部家の養子となった。本名,保英(やすひで)。通称,半左衛門。初号,芦馬(ろば)。別号,蓑虫庵(みのむしあん),些中庵(さちゅうあん)。9歳のとき芭蕉から俳諧を学び,29歳のとき20年ぶりに芭蕉と再会。32歳で致仕して隠棲し,俳諧に専念して伊賀蕉門の中心的存在となった。芭蕉の教えをまとめた《三冊子》を著し,芭蕉作品の集大成《蕉翁句集》《蕉翁文集》《おくの細道》の三部の書を編集した。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「土芳」の解説

土芳 どほう

服部土芳(はっとり-どほう)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土芳」の意味・わかりやすい解説

土芳
とほう

服部土芳」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の土芳の言及

【三冊子】より

…江戸中期の俳諧論書。蕉門の俳人,服部土芳の遺著《白さうし》《赤さうし》《忘れ水》の総称。1702‐03年(元禄15‐16)に成り,1776年(安永5)に闌更の序を付して伊賀の内神屋三四郎などから刊行された。…

※「土芳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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