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土質力学 どしつりきがくsoil mechanics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

土質力学
どしつりきがく
soil mechanics

土を工学的材料と考え,その物理的性質を研究する学問体系。土木,建築の構造物の基礎をなす土の力学的挙動を調べることが中心になっているが,土中に含まれる水との相互関係を考察する水理学的問題,土の性質を改良したり,効果的に利用したりするのに必要な基礎的性質を考える材料力学的問題も主要な部分をなしている。対象は,一般に土と呼ばれているもののほかに,粘土,砂,礫,岩盤なども含まれる。 17世紀にヨーロッパ,ことにフランスにおける築城技術の発達に伴って設計上の必要から土質力学の経験法則が打立てられ,18世紀以来,多くの科学者によって理論的解析がなされた。

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百科事典マイペディアの解説

土質力学【どしつりきがく】

土の性質を力学上から研究しようとする学問。従来は土圧,基礎支持力がおもに研究されたが,近年,材料としての土の利用の技術面での開発が新しい工学(材料工学の一分野)として注目されている。
→関連項目土木工学

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土質力学
どしつりきがく
soil mechanics

土や地盤に関する工学的な諸問題について、おもに力学および水理学の諸原理を適用する学問。文化が進み産業が発達するにしたがって土木や建築を中心とする建設事業の数と規模は著しく増大している。これらの施設はいずれも大地の上に基礎を置き、あるいは大地に人工を加えることによって構築される点で共通した特色をもつ。そのため建設技術者にとっては、大地を構成する土や岩石などに関する科学的知識をもつことがたいせつであり、ここに土質力学の重要性が認められる。
 土質力学は大別して土性論と土の力学とからなる。前者は土自身の性質とその力学特性を扱う、いわば土の材料学と材料力学であり、後者は土からなる構造体としての地盤や土構造物の力学を扱う土の構造力学というべきものである。土の材料学は土の基本的性質を究明するもので、それらは土粒子の大きさと土の構造、土の状態を表す諸量としての粒子の比重、密度、間隙(かんげき)比、含水比、飽和度、粒度とコンシステンシーconsistency(水分による土の状態の変化)、土の工学的分類などである。
 土の材料力学の主要項目は、土の締固め理論、地下水および毛管水の流動理論、土の圧縮と圧密の理論、土の強度理論などである。土の締固めは、土に機械的な方法でエネルギーを加えて間隙中の空気を追い出し、その密度を高めることをいい、土を埋め戻したり盛り土するときによく締め固めておくことは土工における原則であり、堤防やアースダムなどのように遮水を目的とする土構造物ではとくにたいせつな事項である。土中水の流動と圧密および土の強度とは密接に関連しており、これは土の材料力学の中心課題である。すなわち、土は外力のもとで圧縮変形と剪断(せんだん)変形をおこすが、透水性の小さい粘土のような土では圧縮変形が長期間継続する圧密現象がみられる。また土中の剪断応力が抵抗値(剪断強度)を超えると、すべりが生じて剪断破壊がおこるが、土の剪断強度がまた圧密によって増大するという複雑な性質がある。ことに最近の土質力学では、破壊に至る変形の過程で示す土の力学的挙動を時間変数を取り入れて究明する方向に進展している。
 土の力学には安定の問題と変形と沈下の問題の二つが含まれる。前者は擁壁や矢板(やいた)に作用する土圧の算定、基礎の支持力の計算、斜面の安定解析などにおいて普通にみられるもので、いずれも土の塑性破壊の状態を取り扱っている。一方、後者は地盤や構造物の沈下計算において出現するものであり、通常、弾性論または非塑性論を基にして論議される。土は他の構造用材料と異なりその種類や性質が千差万別であり、全体としてのまとまった形を与えることは非常に困難であるが、理論的土質力学ではそれらをいちおう理想化して体系的な取扱いを行うことが少なくない。実際の設計計算に取り入れる土の諸性質が理論式や計算手法と同程度の精度をもたねばならないことはいうまでもないが、最近の試料採取技術と土質試験の精度向上とによって、材料や地盤としての土の物理的ならびに力学的性質は非常に詳細に明らかになりつつある。近代土質力学がテルツァギーK. Terzaghiにより体系化されたのは1920年代であり、比較的若い学問といわねばならないが、いわゆる古典としての土の力学から、土の性質を十分組み入れた土質力学への発展をたどりつつある。[赤井浩一]

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