化学辞典 第2版 「圧抵抗効果」の解説
圧抵抗効果
アツテイコウコウカ
piezoresistance effect
ピエゾ抵抗効果ともいう.ひずみを加えられることにより物質の電気抵抗が増減する現象をいう.金属における抵抗変化は抵抗率の変化より形状の変化によるものが主であるのに対して,半導体においては抵抗率の変化がはるかに大きい.この抵抗率の変化は結晶格子のひずみ,禁制帯幅の変化,移動度の変化などによりもたらされるが,なかでももっとも影響の大きいものは,伝導帯や価電子帯のk空間に対する構造がひずみにより変動するため,エネルギー帯の谷にあるキャリヤーの濃度や移動度が大きく変化することである.したがって,半導体の電気抵抗の変化には異方性があり,金属と比較してはるかに大きなひずみ感度が得られる.金属におけるゲージ率(抵抗の変化率と伸びや縮みの変化率の比)は正であるが,半導体では結晶の伝導型により符号が異なり,伸びによる抵抗変化はn型半導体で負,p型半導体で正の値をもつものが多い.この効果は機械量の電気量への変換素子としてひずみゲージに広く用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報