地下運動(読み)ちかうんどう(英語表記)underground movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地下運動
ちかうんどう
underground movement

非公然,ないしは非合法的な反政府運動のこと。結社,政治組織が非合法化され,時の政府から弾圧を受ける場合,しかもなお,非合法の組織をもって反政府運動を進めていこうとするとき,その運動を地下運動と呼ぶ。また,あらかじめ政府による警戒,弾圧が予想されるときには,非合法化される以前から地下組織をつくり,地下運動を続けていくことがある。各国共産党,革命的党派の活動に多くみられ,歴史上著名なものとしては,イタリア統一運動におけるカルボナリ結社や社会主義者鎮圧法下のドイツ社会民主党の運動,ナチス占領下のフランスや東ヨーロッパにおける組織的なレジスタンスなどがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちかうんどう【地下運動 undergroundmovement】

社会運動が政府によって弾圧された場合とられる,非合法な運動の形態。主として反体制運動が合法的な活動を行う可能性が狭隘(きようあい)化したときや,なくなったときに生ずるが,必ずしも政治運動だけにみられるわけでなく,古代ローマのキリスト教会やナチス・ドイツでの一部の教会のように宗教的・イデオロギー的理由で地下運動の形態をとる場合も存在する。一般に,地下運動は政治警察抑圧監視の下で行われるところから,それに対抗しうるだけの組織と,情報の伝達系統,さらに人民暗黙,半公然の支持が不可欠である。

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大辞林 第三版の解説

ちかうんどう【地下運動】

革命運動やレジスタンスのような政治運動・社会運動において、非合法かつ非公然に行われる活動。地下活動。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地下運動
ちかうんどう
underground movement

一般に非公然的あるいは非合法的に行われる反政府もしくは反体制運動をさす。歴史的には、非合法時代の各国共産党などの革命運動がこれにあたる。また、ナチ体制下におけるレジスタンスもこうした反政府、反体制の思想的、政治的、軍事的活動であった。ただし、かならずしも反政府、反体制でない活動でも、それが政府や体制の側からみて好ましくないと考えられるために、弾圧を恐れて地下に潜る場合がある。たとえば、ソ連やかつての東欧などの社会主義国のなかで政府の意向やイデオロギーに反する文芸運動や宗教活動が、地下運動として存続した。そうした運動の主張や報告は、地下出版物(ソ連の場合はサミズダートとよばれた)として国内のみならず国外にも持ち出されて出版された。
 地下運動の新しい形態としては、文字どおりアンダーグラウンドあるいはアングラの名のもとに、1960年代中葉からアメリカその他の高度に工業化、都市化、管理化した消費社会のなかに現れたヒッピーなどの運動があげられるであろう。この場合は、社会の主流をなす側(いわゆるエスタブリッシュメント)の生活様式や文化に対する抗議ないし批判としての「対抗文化」の形成、あるいは自分たちの自己確認と新たな共生の実現を図る「もう一つの社会(オールターナティブ・ソサエティー)」を志向するものであって、反技術的、反物質的な共同生活(コミューン)を実践する若者たちの運動をさす。こうしたアングラ運動では、きわめて活発な宣伝・情報活動によって同調者を得ようとする組織的努力がなされ、社会の脱落者(いわゆるドロップアウト)や麻薬患者などの救済にも努めている。[飯坂良明]

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