デジタル大辞泉
「ドロップアウト」の意味・読み・例文・類語
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ドロップ‐アウト
- 〘 名詞 〙 ( [英語] dropout ) ( ━する )
- ① ある社会や体制にうまく適応できなくて、そこから離脱すること。おちこぼれること。
- [初出の実例]「ドロップアウトがいいことかどうか」(出典:軽口浮世ばなし(1977)〈藤本義一〉六)
- ② 学校を中途で退学すること。
- [初出の実例]「ぶらぶらしているドロップアウトの学生を雇ったりもする」(出典:がらくた博物館(1975)〈大庭みな子〉すぐりの島)
- ③ 録音テープや磁気ディスクの信号が、一部ぬけ落ちていること。
- ④ ラグビーで、タッチダウンした後、またはボールがタッチインゴールに出たときやデッドボールラインにふれるか、こえた後に、防御側が二二メートルラインから行なうドロップキックで競技を再開すること。〔現代語大辞典(1932)〕
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ドロップアウト
どろっぷあうと
dropout
一般的には、なんらかの社会的・集団的活動から脱落すること(または脱落者、落後者)を意味するが、とくに教育制度との関連で、通常の教育コースからの脱落または脱落者をさすことが多い。たとえば中学校における長期欠席(者)、高等学校や大学の中途退学(者)など。したがって、このことばには、もともと、社会的不適応や非行などを連想させる含みがあり、否定的な意味合いで使われるのが普通であった。しかし1960年代後半以降は、先進的産業社会における対抗文化counterculture運動との関連で、むしろ肯定的な意味合いを込めて使われることも多くなった。この場合には、進学競争や出世競争(さらには、その背後にある現代産業社会の正統的価値観)を拒否し、そこから自発的に脱落することによって新しい自由な生き方を試みるという側面が強調される。たとえばヒッピー現象などはその一つの表れであった。
[井上 俊]
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ドロップアウト
dropout
正規の学業あるいは就業を放棄したまま,正業に就くことなくぶらぶら状態にある者のこと。これが大量現象として出現し,一個の社会問題となったのは,1960年代後半の先進産業社会における青年を中心とした〈対抗文化〉と関係がある。この時期のドロップアウトは,学業や就業への不適応者というよりも,むしろその世界における伝統的な価値体系への積極的な反抗者であり,〈代替的alternative〉価値体系へと志向する者であった。したがって,彼らが現出したヒッピー現象も,単なる遊民の群れの〈モラトリアム〉行動とみるべきではない。彼らが努力したフリー・スクールやコミューンの建設にみられるように,業績主義,生産主義,機能的合理主義等が支配する世界における人格主義,表出主義,共同主義の確立をめざした文化的実験があったことに目を注ぐべきである。70年代後半,そうした〈対抗文化〉による新しいライフスタイルを身につけた者の体制への〈ドロップイン〉は,こうした文化的実験の成果の一端である。
執筆者:高橋 徹
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ドロップアウト
ダイビングの世界から脱落してしまうこと。ダイバーであることをやめうこと。できるだけ避けたい事態ではある。
出典 ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』ダイビング用語集について 情報
ドロップアウト
データの読み書きの際に、何らかの原因によって、読み書きしたデータの一部が失われてしまうこと。
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世界大百科事典(旧版)内のドロップアウトの言及
【ラグビー】より
…ボールがタッチラインの外に出たときはラインアウトとなり,両チーム2名以上のプレーヤーが,5メートルラインの内側に双方1mの間隔をとってタッチラインと直角に並び,ボールを外に出した相手側のプレーヤーが投げ入れる。ボールがデッドボールラインを越えるかタッチインゴールに入ったとき,または攻撃側がインゴールに入れたボールを防御側が地面につけたときはドロップアウトとなり,22メートルライン内からドロップキックによって試合を再開する。得点は相手側インゴールに適法にボールをつけるとトライ(T)となり5点,トライ後にはゴールキック(トライ地点とタッチラインの平行線上の任意の地点からゴールポストに向かってキックを行うこと)の権利が与えられ,キックされたボールがクロスバー上を通過すればゴール(G)となり,2点が加えられ合計7得点となる。…
【ラグビー】より
…ドリブルdribbleボールをけりながら前進すること。ドロップアウトdrop out攻撃側が防御側インゴールに入れたボールを防御側がタッチダウンした場合,またはボールがデッドボールラインを越えるかタッチインゴールに入った場合に与えられる22メートルライン内からの防御側のドロップキック。その際,キックする側のプレーヤーはボールの後方にいなくてはならない。…
【対抗文化】より
…だが現代におけるカウンターカルチャーは,先進産業社会とくにアメリカにおいて,1960年代から70年代初め,すなわち人種問題の激化,ベトナム戦争の拡大,公害問題の深刻化などを背景とする時代に盛りあがりを見せた,青年の反逆現象ないし〈異議申立て〉のなかで生み出された思想,価値体系およびライフスタイルを指す。合理主義と業績主義に価値を置き,効率と豊かさを追求してきた[産業社会]の〈体制〉から〈ドロップ・アウト〉した若者たちは,H.マルクーゼのいう,いわゆる〈一次元的な抑圧的寛容〉に覆われた社会の期待する〈役割演技〉から離脱することによって,政治的・道徳的・規範的言語に支配された日常世界の外に出る体験を求めた。〈すべてを権威的把握におしこめてしまう言語からの解放の第一歩は,どこかへ行けば言語の外になってしまうような場所があるという実感をもつこと〉(D.ラミス)だったから,マリファナやLSDなどのドラッグによる〈トリップ〉,ロック・ミュージック,サイキデリック・アート,非正統的な諸宗教が空前の流行をよんだ。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」