ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地方税規則」の意味・わかりやすい解説
地方税規則
ちほうぜいきそく
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明治前期に三新法の一つとして制定された地方財政法。1878年(明治11)7月公布。府県税および民費が地方税とされた。地方税の種別としては,地租5分の1以内の国税地租付加税,営業税・雑種税・戸数割が法定され,警察費・府県立学校費・府県会諸費など12項目が支弁費目に計上された。会計年度は7月から翌年6月までとし,府知事および県令が編成して提出する予算について府県会が議決した。このような組織的な地方財政制度の形成は地方財政の秩序回復に役立ったが,府県財政の偏重と委任事務の増加といった日本の地方自治制度の基本的矛盾も生みだした。1926年(昭和元)廃止。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…廃藩置県後の府県税目に加えられ,たとえば生糸売買,売薬,酒類・しょうゆ醸造などの鑑札交付に見られるように,営業免許料は府県の営業の実情に応じて実に多種目に及んでいた。1878年の地方税規則制定によって,地租割,戸数割とともに営業税・雑種税が地方税(府県税)として課せられる統一的な制度が成立した。営業税は,当初会社税・卸売商税(一類),仲買商税(二類),小売商税・雑商税(三類)の3種類に分類され,類ごとの税率で課税された。…
…戸数割の原型とみられるものとしては江戸時代から門割(かどわり),小間割,間口割と呼ばれる家屋税に近いものもあり,人頭税に類するもの(沖縄ほか)もあった。明治に入り,1878年7月の地方税規則により,それまでの府県税(1875年雑税・賦金を整理)および民費を,地租割,営業税・雑種税,戸数割の3種と定めたことによって,三新法体制下の地方税として登場した。戸数割は,納税義務者を毎戸現住者と定めたのみで,課税客体,課税標準,制限税率もあいまいな封建的・人頭税的な課税方法を残す地方税として出発した。…
…1878年公布された明治政府最初の統一的地方制度で,郡区町村編制法,府県会規則,地方税規則の三つからなる。徴兵・教育・地租改正などに反対する農民騒擾(そうじよう),国会開設を求める自由民権運動のめばえという物情騒然たる状況に対処するねらいで,大区・小区制の官僚支配への転換をもたらすために発布された。…
…その成立過程をみると,まず1871年の廃藩置県の後,府県体制が中央集権的に整備されるなかで,各府県官により行政機構の末端機関として大区・小区が設けられ,幕藩体制下の自治組織であった町村が制度上否認されるが,実際には,地租改正等の新政策を実施するための末端事務と当時の地方費の中心であった民費の課出は,旧来の町村組織に依存せざるをえないという矛盾に陥った。農民騒擾(そうじよう)が続発し自由民権論が台頭するなかで,78年,地方自治制の端緒となる地方三新法(郡区町村編制法,府県会規則,地方税規則)が制定され,大区・小区制が廃止されて郡町村制が復活し,府知事・県令と郡長の行政権の圧倒的優位のもとにではあるが,一応の町村自治と公選制地方議会の設置が公認された。また府県税の税源と支出費目がはじめて統一的に規定され,それと町村費が明確に分離されて地方財政制度が近代化された。…
※「地方税規則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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