地震予知【じしんよち】
地震発生の場所,時期,大きさを予測し,震災対策に役だてること。地震発生に関係していてそれの前兆現象を見つけ,連続観測によってそれらの異状を知り予知に利用しようとする。主要な方法は,地殻変動の異状,その地域の地震活動の消長,活断層,活褶曲(しゅうきょく)などを調べ地質学的に大地震発生の可能性のあるところを予想することである。また,地磁気,地電流の変化を調べたり,地震波速度の変化を調べたりする方法も研究されている。日本では1969年,文部省測地学審議会の建議により地震予知連絡会が国土地理院に設けられ,各省庁,大学から得た観測データをまとめ,分析,特定観測地域や観測強化地域などを指定している。なお,1995年の〈地震防災対策特別措置法〉にもとづき総理府に地震調査研究推進本部が設置され,地震予知の行政面は同本部の地震調査委員会が担当することになった。2001年,中央省庁再編にともない,地震調査研究推進本部は,総理府から文部科学省に移管された。2011年3月に起こった,東北地方太平洋沖大地震による東日本大震災で,予知されていなかった巨大地震と大津波の発生が現実のものとなり,さらに福島第一原発の大事故が史上最悪レベルの原発事故となったことで,日本の地震予知の精度と津波発生のメカニズムの解明が,防災対策上喫緊の課題となっている。
→関連項目地震考古学
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知恵蔵「地震予知」の解説
地震予知
地震発生前にその発生時期、位置、大きさ(地震予知の3要素)を、ある程度範囲を限って予測すること。1つでも要素が欠けていたり、予測の幅が広すぎるものは予知といえない。対象期間によって、長期予知、中期予知、短期予知あるいは直前予知などというが、その境界は必ずしも明確ではない。短期予知をもとにした地震予報は、現状ではよほどの好条件に恵まれる場合以外は困難。
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じしん‐よち ヂシン‥【地震予知】
〘名〙 地震の発生前に、その時期・場所・規模を予測すること。日本では、国土地理院に置かれた地震予知連絡会や気象庁の地震防災対策強化地域判定会が中心となり、土地の変化・ひずみ・異常地震活動、震源の移動、地下の電気抵抗、地下水の各種データなどを常時検討している。
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じしんよち【地震予知】
大地震は突発的に起こるために,しばしば大災害をもたらしてきた。特に最近のように都市の近代化が進み,産業設備等が複雑かつ巨大なものになるにつれて,防災面での都市の脆弱化が加速度的に進行している。したがって,地震災害を軽減する一つの方法として,地震の発生をあらかじめ知ることができないだろうかという社会的要望がいっそう強くなっている。 地震予知の実用化が達成されれば人命の救助や災害軽減に役立つことは明らかである。
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世界大百科事典内の地震予知の言及
【地震予知連絡会】より
…地震予知に必要な観測を分担する各機関が資料を持ちよって検討する委員会。日本の地震予知計画は1965年度に発足し,国の予算措置がとられるようになったが,1968年十勝沖地震を契機として,予知の実用化への道を早く開くために,この連絡会が建設省国土地理院に設けられた。…
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