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坑内通気 こうないつうきmine ventilation

世界大百科事典 第2版の解説

こうないつうき【坑内通気 mine ventilation】

鉱山,炭鉱の坑内に新鮮な空気を送って,逆に汚れた空気を坑内から排出させること。通気の第1の目的は坑内で働く人への酸素の供給である。坑内空気中の酸素は,人の呼吸,石炭・鉱石の酸化,坑木の腐敗などによって消費され(石炭の酸化による酸素の消費が最も著しい),また炭層および地層から窒素,二酸化炭素(炭酸ガス)などが湧出して坑内空気中の酸素の含有率を減少させ,いわゆる酸欠の状態となる。この酸素欠損を補うために新鮮な空気を送る。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

坑内通気
こうないつうき

通気」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

坑内通気
こうないつうき
mine ventilation

新鮮な空気を坑内に流通させること。炭鉱、鉱山あるいは長大トンネル(たとえば青函(せいかん)海底トンネル)など、地下に大きな坑道網がつくられ、そこに人が働く場合、また竣工(しゅんこう)後に交通機関が通ったり、人が往来したりする場合、次の目的で地上から新鮮な空気を送り込む必要がある。
(1)坑内にいる人に呼吸のための空気を供給する。
(2)坑内から往々にして湧出(ゆうしゅつ)する有毒・有害ガスを薄めて無害にして排出する。
(3)坑内が深くなるにつれ、地熱の影響で高温になり、環境が悪化する。これを通風によって冷却する。
 鉱山や炭鉱の地下には数十キロメートルから数百キロメートルもの坑道網が展開している。これら坑道のすべての箇所に空気をまんべんなく供給することは非常にむずかしく、古くから坑内通気に関して多数の研究が行われ、現在でも毎年のように国際シンポジウムが開催されている。
 通気の計算や設計のための公式は主として次の三つである。
(1)アトキンソンの公式

 (1)式では、hを「通気圧」といい、坑道に通風するための押し込み、または吸引の圧力を表す。この場合、押し込み圧を正圧、吸出し圧を負圧という。単位は水柱で示しミリメートルで計る。またLは通気を行う坑道の長さ(メートル)、Uは坑道の延長方向に対して垂直にとった断面の周辺長(メートル)、Fは坑道の断面積(平方メートル)、vは坑道内を通過する風速(メートル/秒)を表す。Qは同じく、坑道内を通過する風の量(立方メートル/秒)。またQ=Fvでもある。kは「坑道の摩擦係数」といい、多くの実測値がある。
 (1)式を変形すると次の二つの公式が導かれる。

 (2)、(3)式ともに右辺は坑道の寸法と摩擦係数のみであって、坑道さえ決まれば一定の数量となる。左辺は右辺に等しいので、(2)(3)のMAともに坑道に特有な数値である。前者は坑道の風の通りにくさを示すため比抵抗といい、ミュルグという単位で示す。後者は坑道の風の通りやすさを表現する数値で、等積孔と称され、平方メートルが単位である。鉱山学においては、(1)、(2)および(3)式は万国共通に用いられている。(2)および(3)式は、いくつかの坑道が直列あるいは並列に連結されているとき、通気上の合成をするために用いられている。坑内の坑道網は直列、並列に複雑な組合せをもっているが、坑道網の通気抵抗を合成していけば、最終的には坑道網と等価な1本の坑道に置き換えられ、これが設計計算の基礎となる。
 通風の方法には、坑内外の温度差を利用する自然通気法と、送風機を用いる機械通気法とがある。自然通気法は動力を必要としない利点はあるが、夏と冬とで通気の流れの方向が逆転したり、春と秋には通気がなくなるという不都合もあるため、大きな炭鉱や鉱山ではすべて機械通気法が用いられている。送風機は以前には各種のものがあったが、現在では性能の安定したプロペラ型が主流となっている。
 坑道の掘進先、坑内の機械座など、入気または排気坑口に取り付けた主要送風機の通気力が及ばない箇所には局部通気法を用いる。それには、円筒形の風管の端の中央に取り付けたノズルから圧縮空気や高圧水流を吹き出させて、それに誘われて通気力が生ずるジェット通気法、およびプロペラ型の小型送風機を風管の端に取り付ける方法がある。局部通気法は吹込み式であり、掘進先に風管口から風を吹き出す方法が主体であるが、主要通気は坑内より空気を吸い出す方法と、逆に坑内へ空気を押し込む方法とがある。日本をはじめ多くの国の炭鉱、鉱山では吸出し式が圧倒的に多い。そのため坑内の気圧は大気圧より低い状態となる。これを負圧と称している。
 近年、鉱山や炭鉱が深部化して坑道網も長大化し、複雑になってきている。そのため通気の設計計算も人力では及ばないほどのものになり、コンピュータを利用して計算するようになってきた。このような進歩は将来、坑内状況に応じて各坑道への通気量を自動調整する道を開くものとして注目されている。[磯部俊郎]
『厚見利作著、熊沢良雄補遺『実用坑内通気』(1957・森北出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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